B08 関東鉄道・筑波鉄道・鹿島鉄道

2023年11月3日 関東鉄道 常総線110周年記念 水海道車両基地公開に関連して

図1 路線開業年と会社変遷 図2 路線概略 今年開業110周年となる関東鉄道ですが、路線開業年および会社の変遷は図1の通りです。今年は常総鉄道開業から数えて110年ということになります。 さて、図1および図2に示した4つの鉄道が合併して1965年に関東鉄道にな…

国鉄10系気動車の台車と乗り心地

写真1 DT19 写真2 台車中央部拡大 10系気動車は1950年代前半に製造されましたが、動台車がDT19(写真1参照)、付随台車がTR49です。外観はほとんど同じです。いずれも、液体式の試作車であるキハ44500形から採用された標準動台車です。構造の簡略化と保守の容…

国鉄10系気動車登場前夜

元国鉄キハ10形 昔、日本国有鉄道に「10系気動車」と呼ばれる車両たちが存在しました。もちろんこれは通称で、正式に「系」という表現が用いられたわけではありません。鉄道好きの人たちが、キハ17形、キハ10形などの一群をこのように称していたわけです。「…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ813形…トマソン的物件を有する車両

怪盗ルパンシリーズに『813の謎』という物語がありました(今もあると思います)。話の中身はよく覚えていませんが、犯人に殺された人がどこかに「813」と書き残していて、それが事件を解決する重要な鍵だった…というようなお話です。 …で、その物語とは全く関…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ810形(その3)…屋根上排気口から雨水が入るとどうなるか

北海道の雄別鉄道キハ49200形(→関東鉄道キハ760形)は床下排気でした。雄別鉄道においてこの改良増備形という位置づけだったキハ100形(→関東鉄道キハ810形)は当時の国鉄気動車と同様、屋根上排気に変更されました。 写真1 外観 写真2 外観 まず写真1と写真2は…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ810形(その2)

今回はキハ810形の便所跡に関してです。 雄別鉄道キハ100形時代は国鉄キハ22形と同様、便所がありました。蒸気機関車によって運転されていた時代より大幅に所要時間が短くなったといっても全線所要時間は1時間を少し超えていましたから、やはり必要というこ…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ810形(その1)

キハ760形は1957年に雄別鉄道のキハ49200形として登場しましたが、その5年後、同鉄道に気動車が2両増備されました。形式はキハ100形。キハ49200形がすでに3両あったので、4両目と5両目という意味でキハ104とキハ105となりました。 この鉄道は1970年に廃止と…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ760形(その3)

よくよく見ると理由のわからない構造ってあるものです。 写真1 キハ761の燃料タンク覆い 写真2 キハ763の燃料タンク覆い 写真1と写真2、いずれにもU字形のものが写っていますが、これは燃料タンクの覆いです。下部が斜めに削られていますが、雄別鉄道時代こ…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ760形(その2)

同時に新製された車両であっても長い間には改造などにより差異が生じてくるものです。雄別鉄道キハ49200形だった関東鉄道キハ760形もこの例にもれず、あちこち差異が生じていました。 写真1 キハ761(元空気溜はひとつ) 写真2 キハ762(元空気溜はふたつ) 写真…

北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ760形(その1)

北海道にはたくさんの炭鉱があり、貨物や人を運ぶための鉄道が走っていました。しかし1970年前後に次々に閉山され、そこで働いていた車両たちも仕事を失いました。これに目を付けたのが内地の非電化私鉄で、失業状態にあった気動車を次々に買い求めました。…

夕張鉄道キハ254(→関東鉄道キハ715→鹿島鉄道)の戸閉め車側灯

車両の側面には表示灯が取付けられています。今回は、キハ715の戸閉め車側灯に関してです。 キハ714と同じく、キハ715も夕張鉄道キハ254時代に戸閉め車側灯はありませんでした。取付けられたのは、関東鉄道入線に際して半自動扉に改造された時です。手動扉で…

夕張鉄道キハ254(→関東鉄道キハ715→鹿島鉄道)の運転台窓下通風口の位置

写真1 キハ715 キハ710形(キハ711~713)やキハ714形と同じような車両(写真1)を引っぱり出してきましたが、別物です。 1953年に登場したキハ250形キハ251に続き、1955年から翌年にかけて夕張鉄道にキハ252形キハ252~254が登場しました(キハ254は1956年登場)…

夕張鉄道キハ251(→関東鉄道キハ714→鹿島鉄道)の笛と側面

写真1をご覧になって「なんだ、キハ710形じゃないか」と思われたかもしれません。確かによく似ているのですが、今回は夕張鉄道からやってきた車両で別物です。 1953年、夕張鉄道にキハ250形キハ251が登場しました。上記の通り三井芦別鉄道キハ100形とよく似…

三井芦別鉄道キハ100形(→関東鉄道キハ710形→鹿島鉄道)の床下機器

地方私鉄というだけでも鉄道趣味人の注目を集めないものですが、「地方私鉄」の「気動車」の「床下機器」に関してとなると、「注目されない」の3乗になります(世間一般では「全く注目されない」と表現します)。このような写真を撮影する人はほとんどいないの…

三井芦別鉄道キハ100形(→関東鉄道キハ710形→鹿島鉄道)の笛覆いと雨どい

1958年、北海道の芦別にあった三井鉱山に、初のディーゼル動車キハ100形3両が登場しました。1960年には鉄道部門が独立して三井芦別鉄道となりましたが、1972年に旅客営業が廃止されてしまったため、キハ100形は不要となりました。(貨物営業はその後も継続し…

南海電鉄の気動車が4扉に改造された話

南海電鉄には昔、電車以外に気動車も走っていました。 南海電鉄は戦前からいろいろな形態で国鉄紀勢線に乗入れていました。1959~1962年には国鉄キハ55形とほぼ同じキハ5501形キハ5501~5505(片運転台)、キハ5551形キハ5551~5554(両運転台)を新製し、国鉄に…

小田急電鉄キハ5000形改造の関東鉄道キハ751形は乗務員室が狭かったというお話

小田急電鉄キハ5000形は御殿場線乗入れ用として1955年に2両新製された気動車です。ただし座席ピッチが狭く(なんと1320mm!)不評でした。1956年に増備された1両は座席ピッチを1520mmに変更して登場しました。形式はキハ5100形と称し、1959年にもう1両増備され…

小田急電鉄キハ5000形、キハ5100形改造の関東鉄道キハ751形、キハ753形の追加扉が外吊りだった理由

小田急電鉄キハ5000形、キハ5100形(キハ5000形の改良増備車)が関東鉄道キハ751形、キハ753形に改造された際、追加された客室扉は外吊りでした。ただし、なぜ外吊りになったのか調べてみても、「改造を容易にするため」程度のことしか記されていません。そこ…

元小田急電鉄「5000形」と御殿場線そして関東鉄道キハ751形

小田急電鉄「5000形」と聞いてどのような車両を思い浮かべるでしょうか。「2020年に登場した10両編成のステンレス車体の電車」でしょうか。それとも「1969年に登場した4両固定の、アイボリーに青帯を巻いた電車」でしょうか…。 実は、5000形を名乗る小田急電…

小田急電鉄クハ1650形→関東鉄道キクハ1形のブレーキ装置改造

小田急電鉄クハ1650形は電車の制御車で、関東鉄道キクハ1形は気動車の制御車で、いずれも動力源を持っていません。まず、「電車と気動車では動かすための制御回路が違う」ということは、何となくおわかりいただけるのではないかと思います。では、ブレーキ装…

小田急電鉄クハ1650形→関東鉄道キクハ1形の台車(ころ軸受化されたTR11)

写真1 キクハ2のTR11 小田急電鉄クハ1650形だった関東鉄道キクハ1形の台車はTR11でした。写真1はキクハ1形キクハ2のTR11ですが、前後の軸箱が大きな釣合梁で結ばれ、台車枠からの荷重は2本のコイルばねを介して受けています。枕ばねは重ね板ばねです。文字通…

元小田急電鉄クハ1650形の関東鉄道キクハ1形の定員

写真1 キクハ2 写真1は、小田急電鉄クハ1650形を気動車用の制御車に改造した関東鉄道キクハ1形キクハ2です。この車両の座席定員は46人ということになっています。 座席はロングシートで、キクハ2の場合は車両左右両側の前(写真左)から順に、926mm(2.2人)+360…

鉄道省木造客車の台枠と小田急・東急の制御車、そして関東鉄道キクハ1形と上田交通モハ5370形

世間一般における認識としては、「線路の上を走っている車両」=「電車」なんだろうなと思います。したがって、「これは気動車だ」とか「機関車だけが走っていったのだ」という表現は、「は?」ということになるのでしょう。今回は電車用の制御車を気動車用…

ペーパーバック【関東鉄道グループのキハたち】

先日発行したペーパーバックを自ら購入してみました。注文して2日後届いたものを確認すると…思っていた以上に「本」です。 写真1 表紙 表紙は写真1のように光沢があります。厚さのある紙で、安っぽさはありません。 写真2 小口と天 本文は72ページです。裁断…

ペーパーバックまもなく発売 ⇒発売しました!

昨年の10月からKindleペーパーバックの出版が可能となりました。今までの電子書籍に加えて「紙の本」も個人で発行できるようになったわけです。もちろん世界中で販売可能です。 現在私は電子書籍を25種類発行中ですが、関東鉄道シリーズに関して半分近く発行…

関東鉄道キハ720形の貫通扉はなぜこんなに引っ込んでいるのか

写真1 キハ720形 写真1は、以前ご紹介した関東鉄道キハ720形です。 写真2 加越能鉄道時代(塗色は除く) 写真2は、加越能鉄道時代の姿(塗色以外)を写真合成で復元してみたものです。両運転台で、「く」の字形に折れ曲がった顔でした。 写真3 貫通側車端 加越能…

北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541 本当の最大幅は?

鉄道車両の「車体幅」というのは具体的にどこを指すのか、今ひとつよくわからない定義です。それに対して「最大幅」ははっきり定まるのではないか…と思いたいのですが、この車両の場合は最大幅がよくわからないのです。まあ、昔の車両に関してはこんなもんだ…

北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541 荷台がねじれていたというお話

この車両は荷台があることが特徴ですが、実はこの荷台、ねじれていました。 図1 車両の前後と①~④位 以下、同じような写真がたくさん並んでいますので、まず部位を整理しておきます。 車体は前後対称ですが、ちゃんと「前」「後」があります。これらは図1の…

北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541 旗を掲げていたことがあったのか?

地方私鉄には、国鉄車両にはない特徴を有する車両たちがいたものです。今回は「旗差し」ではないかと思われる部位に関してです。 写真1 筑波鉄道キハ541 写真1は筑波鉄道キハ541ですが、おでこの左右に何やら付いています。 写真2 拡大 写真2は拡大写真です…

北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541 ND209台車の形式が重複していたお話

今回は、北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541に関する内容ですが、題に記した通り「台車の形式が重複していた」というお話です。 台車に限った話ではありませんが、国鉄や一部の私鉄を除くと、機器の形式はそれを製作したメーカが自ら定めます。今回の例では、…