今回は、北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541に関する内容ですが、題に記した通り「台車の形式が重複していた」というお話です。
台車に限った話ではありませんが、国鉄や一部の私鉄を除くと、機器の形式はそれを製作したメーカが自ら定めます。今回の例では、動台車がND209、付随台車がND209Aと定められました…が、なんと重複していたのです。
①ひとつ目のND209とND209A:
台湾林務局(阿里山森林鉄路)納めのDPC気動車用で、ロッド連動式
②ふたつ目のND209とND209A:
北陸鉄道コハフ5301(のちのキハ5301)用で、外観はTR29とほぼ同じ。
まあ人間のやることには間違いはつきものですから仕方ありませんが、①と②が同じ形式だと趣味人も混乱します。ちなみに阿里山森林鉄路のDPCは2両新製されましたので、①のND209とND209Aの方が②より製作数が多いということになります。
前置きが長くなりましたが、今回は②のND209とND209Aに関してです。
まず、ND209およびND209Aの設計基本となったであろうTR29です。これは国鉄キハ42000形用として登場した台車で、動台車と付随台車、いずれもTR29と称しています。写真1のTR29は鹿島鉄道キハ600形(国鉄キハ42000形として生まれた車両を改造)のもので、動台車の方です。車両内側(写真右側)が駆動軸で、逆転機が見えます。
写真2は筑波鉄道キハ541の動台車ND209です。車両内側(写真左側)が駆動軸で、逆転機が取付けられていると共にプレート輪心です。TR29とほぼ同一ですが、外観的に細かいことを言うと軸箱両側にある菱枠柱のボルト本数が異なります。しかし、いったいどこが異なっているのか間違い探しをやっている気分になると思います。とにかく、それぐらいTR29とそっくりさんということです。
写真3は、同じく筑波鉄道キハ541の付随台車ND209Aです。外観的には動台車ND209と変わりません。付随台車なので、逆転機は取付けられていません。ただし、車両内側(写真右側)寄りは動台車ND209と同じくプレート輪心となっています。
写真4と写真5は付随台車ND209Aの一部を拡大したもので、補強材が取付けられていることがわかります。ちなみにTR29の場合は、(少なくとも新製時には)補強材がありません。ただし、TR29であってものちに補強材が取付けられている車両の例がありますから、ND209およびND209Aも同様に補強材をのちに追加したものかもしれません。
わざわざ固有の形式を付す必要があったのか?と思わせる台車でありました。
以上
ちかてつの
さかてつでした…