北海道の雄別鉄道からやってきた気動車…関東鉄道キハ760形(その2)

 同時に新製された車両であっても長い間には改造などにより差異が生じてくるものです。雄別鉄道キハ49200形だった関東鉄道キハ760形もこの例にもれず、あちこち差異が生じていました。

写真1 キハ761(元空気溜はひとつ)

写真2 キハ762(元空気溜はふたつ)

写真3 キハ763(元空気溜はふたつ)

 写真1~3を見ると、元空気溜(茶筒を横にしたようなもの)の数が車両により異なることがわかります。キハ761はひとつ、その他の2両はふたつです。「そうか、新製当初からこちらの車側にふたつあった元空気溜のうち、キハ761はひとつを撤去したんだな」と考えがちですが、そうではないのです。

 雄別鉄道に登場して間もない頃の写真を参照すると、片方(写真2および写真3の右側)の元空気溜はこちらの車側に取付けられ、もう片方の元空気溜は反対の車側に取付けられていました。つまり、もともとは各車両とも左右の車側にひとつずつ、計2個だったのです。その後こちらの車側に集められ、さらにキハ761だけはふたつのうちひとつを撤去した…というわけです。

 過去の状況を良く調べないと早とちりするという事例です。

写真4 キハ761 燃料タンク覆い

写真5 キハ762 燃料タンク(むき出し)

写真6 キハ763 燃料タンク覆い

 次に燃料タンクです。写真4を見るとU字形のものが取付けられています。これは燃料タンクそのものではなく、燃料タンクの外に設けられた覆いです。写真5を見ると燃料タンク覆いがほとんどなく(上部にわずかに残存)、燃料タンクがむき出しになっています。写真6は燃料タンク覆いですが、写真4とは少し異なります。

 そもそも燃料タンクに覆いを設けた理由は保温(燃料凍結防止)のためです。北海道の冬は非常に寒いため、燃料タンクと燃料タンク覆いの間に温水管を通して温めていました。さすがに関東地方ではこのような必要性はなく、キハ762(写真5)は覆いをほとんど撤去して中身(燃料タンク)がむき出しになっているというわけです。

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さかてつでした…