北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541 本当の最大幅は?

 鉄道車両の「車体幅」というのは具体的にどこを指すのか、今ひとつよくわからない定義です。それに対して「最大幅」ははっきり定まるのではないか…と思いたいのですが、この車両の場合は最大幅がよくわからないのです。まあ、昔の車両に関してはこんなもんだった…というお話です。

1.北陸鉄道時代

 まず北陸鉄道気動車化改造時の図面によると、握り棒の幅2674mm、客室扉下部靴ずりの幅2880mmとなっています。したがって、最大幅2880mmのはずです。しかし現車写真を確認すると図面に反して靴ずりはありません。ということになると、現車の最大幅は握り棒2674mmだったことになります。

2.関東鉄道筑波鉄道時代

写真1 筑波鉄道時代

 次に関東鉄道筑波鉄道においてですが、写真1のように客室扉下部に靴ずりが設けられています。この部位の現車寸法測定はしていませんが、プラットホームとの干渉を考慮すると2800mm程度だろうと思われます。北陸鉄道時代の図面記載である2880mmかもしれません。

 ところが関東鉄道筑波鉄道時代の形式図にこの靴ずりは記されておらず、最大幅は握り棒になっています。さらにわからないのは、この最大幅(握り棒)が2674mmではなく2710mmになっているのです。北陸鉄道時代と握り棒に差異はないはずですが、なぜか36mm(=2710-2674)広くなっています。

図2 関東鉄道筑波鉄道時代の寸法

 図2は関東鉄道筑波鉄道時代の形式図に靴ずりの寸法2880mm?を追記したものです。

 …ということで、この車両の最大幅はいったい何mmだったのか不明です。形式図とはこの程度のものということなのでしょうけれど、謎を残したままキハ540形はこの世から消滅してしまいました。

 

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ちかてつ
さかてつでした…