C00 要素技術

鉄道車両における「改造」って何なのだろうか…と思った話

鉄道車両(いわゆる電車など)はごくおおざっぱに、台枠(人体に例えれば骨のようなもの)の上に車体(肉のようなもの)を構築し、台枠の下には各種の制御装置など(臓器のようなもの)をぶら下げている…と言えます。鉄道車両は一般的に20~40年前後使用されることが…

小田急電鉄特急用車両の帽子掛け

小田急電鉄の特急用車両はその一部が博物館に保存されています。製造年代ごとに車内外の雰囲気がいろいろ異なります。今回は帽子掛けという部品に注目してみました。 写真1 3000形車内 写真2 3000形帽子掛け 3000形は1957年に登場しました。 帽子掛けは写真2…

大塚台公園の輪軸は何鉄道何系のものか

…という題名ですが、それに対する明確な解答は記していないことを最初にお断りしておきます。 写真1 大塚台公園 写真2 坂道を走る都電 山手線の大塚駅の南西300mほどのところに、大塚台公園(写真1)はあります。写真2は、近くの坂道を走る都電です。 写真3 問…

筑波鉄道キハ504形の進歩的台車NA302

写真1 キハ504のNA302台車 写真2 キハ702のNA4D台車 写真3 キハ503のNA6台車 写真4 国鉄スハフ12 16のTR217台車 写真1は筑波鉄道キハ504形のNA302台車です。キハ700形のNA4D台車(写真2)は台車枠が鋳鋼製でしたが、キハ504形のNA302台車はキハ500形のNA6台車(…

関東鉄道キハ700形のNA4D台車は東武鉄道5700系のFS106台車と異なりゲルリッツ式ではないというお話

写真1 関東鉄道キハ700形 写真2 関東鉄道キハ703形 写真3 NA4D台車 写真1は関東鉄道キハ700形です。先輩となるキハ703形(写真2)と共にNA4D台車(写真3)を履いています。これに関しては下記の記事でも触れました。 NA4系台車の特徴は、軸箱支持装置(軸箱を台車…

仮台車として生き延びた偏心台車

写真1 検査前洗浄風景 鉄道車両は安全確保のため、定期的に検査されます。車両は汚れていますから検査前に洗浄します。写真1は鹿島鉄道キハ600形で、蒸気を使って床下洗浄しているところです。台車ももちろん定期検査の対象ですから、取外します。その間車体…

TR29とDT19どちらが乗り心地が良かったか

写真1 TR29(動台車) まず、TR29の写真を掲載します。これは鹿島鉄道キハ602のもので、鉄道省キハ42036として1937年に新製された車両です。この写真を撮影した1986年当時すでに約50歳だったわけです。TRと称しますが、右側の輪軸に逆転機が取付けられているこ…

京王、富山地鉄、秩父、長野の各鉄道車両用台車と同系の気動車用台車NA4D

昔の気動車はその原動機(ディーゼル機関)が非力でしたから、それを補うために電車より軽量化に重点が置かれたものです。台車もその流れから電車用とは全く異なった設計(軽量構造)のものが多かったのですが、何事にも例外があります。 今回は、関東鉄道キハ70…

国鉄ガソリン動車のGP・GPSブレーキ装置 その部品に関して

1か月ほど前に『国鉄ガソリン動車のGP・GPSブレーキ装置』を執筆中である旨、記事にしましたが、ようやく原稿作成終了しました。これから推敲という段階です。 資料を読みながら解説図などを作成してみると、思っていた以上に昔の方々が工夫をしていたんだな…

国鉄ガソリン動車のGP・GPSブレーキ装置

どんな分野においても注目されるものと注目されないものがあります。 鉄道という分野にはかなり多くの趣味人がいると思いますし、その中の車両という分野にもそれなりの数の趣味人がいることでしょう。しかし、車両の構造に興味を持つ人となると「車両好き」…

200‰登り勾配!

写真1 坂道 写真2 20%の勾配標識 ある坂道に、20%と記された道路標識が設置されています。歩いてみると結構急な坂道ですが、それでもクルマは路面とゴムタイヤの摩擦で登っていきます。 写真3 約200‰の勾配を走る電車 写真3は、約200‰(パーミル)の勾配を走…

GPSと自動ブレーキ

鹿島鉄道キハ600は鉄道省キハ42000形として産まれましたが、当初のブレーキはGPS式でした。ちなみにGPSの意味は下記です。 G:ガソリン動車用 P:自動空気ブレーキに用いている制御弁の形式 S:直通空気ブレーキ つまり「P制御弁を用いた自動空気ブレーキに…

TR29台車

写真1 関東鉄道キハ614 写真2 関東鉄道キハ614 現在記事をまとめている関東鉄道キハ550とキハ610は、いずれもTR29と称する台車を履いています。もともと国鉄(鉄道省)キハ42000形ガソリン動車のために設計された台車で、ご覧の通り板材を組合わせて構成されて…

炊飯器と電車には神が宿っているか?

鉄道趣味分野にはいろいろな種類があります。撮り鉄、乗り鉄、音鉄、収集鉄、廃線鉄、葬式鉄、模型鉄…という具合です。これ以外に、鉄道車両や設備などに関する構造・動作を調べ上げるという趣味分野もあります。メカニズムに関する趣味ですからメカ鉄とでも…

真空ブレーキの分野が農学となっている件

昨日、真空ブレーキに関する電子書籍をアマゾンで発売しました。ところが、不思議なことに「Amazon売れ筋ランキング」の「農学(Kindle)」のところに入っています。農学ですか…。いったいどういう単語が農学という分野に引っ掛かったのでしょうか? ●真空の「…

イジェクタとその他

真空ブレーキに関する電子書籍を書いています。 イジェクタ、エジェクタ、エゼクタ…等々、どのようなカタカナ日本語にするか迷いましたが、イジェクタにしました。さすがにエゼクトルだとドイツ語的になってしまうので避けましたが…。 図1 取付状態とハンド…

vacuum chamber

図1 真空ブレーキ全体構成 引続き真空ブレーキに関していろいろ調べていて、下記のようなことがわかりました。今まで真空ブレーキ用のシリンダは大きい大きい…と思っていましたが、シリンダの外周と上部が真空室になっていたからでした。それに対して機関車…

真空ブレーキのイジェクタと車掌弁

国会図書館ウェブサイトで公開されている著作権保護期間満了文献のひとつとして『機関車工学』があります。もちろん当時の機関車と言えば蒸気機関車だけです。その中に真空ブレーキに関する記述があります。100年以上前の技術ではありますが、実に巧妙です。…

保存車両をどこまで復元するか

現在、真空ブレーキに関していろいろ調べているところです。以前ご紹介した下記書物にその基本構成が掲載されています。 真空制動機 - 国立国会図書館デジタルコレクション 図6 真空ブレーキの一般的構成 図6は、上記の国立国会図書館ウェブサイトから引用し…

100年以上前の真空ブレーキ

国立国会図書館デジタルコレクション、今回ご紹介するのは「真空ブレーキ」に関する本2種類です。発行は1908年(明治41年)と1910年(明治43年)です。100年以上前の書物を見られることの幸せ。素晴らしい時代になったものです。 興味がおありの方は下記をどうぞ…

客貨車空気制動装置

国立国会図書館デジタルコレクション、今回ご紹介するのは「客貨車空気制動装置」という本で、1938年発行です。以前ご紹介した「客貨車ブレーキ装置」と内容としては似ていますが、より簡単にまとめてある感じでしょうかね。 客車用AV空気制動装置 客車用PF…

客貨車ブレーキ装置

国立国会図書館デジタルコレクション、今回ご紹介するのは「客貨車ブレーキ装置」という本で、1941年発行です。 鉄道車両のブレーキ装置は技術的には大変重要なものですが、鉄道趣味の世界ではあまり注目されず、鉄道雑誌を見てもなかなかわからないものです…

【鉄道に興味のない方へ】レールの幅と軌間(ゲージ)

1.はじめに 「レールの幅」という表現があります。これにまつわる笑い話と軌間(ゲージ)に関するお話です。 その前に質問ですが、「レールの幅」って写真1~3のどれのことでしょう? ちょっと考えてみてください。 写真1 A寸法 写真2 B寸法 写真3 G寸法 2.レ…

【鉄道に興味のない方へ】レール/軌きょう/軌道/線路

1.はじめに 鉄道車両が走る「道」を世間一般ではレールとか線路とか称していますが、それぞれの単語が何を示すのか…というお話です。 2.JIS E1001 技術分野に限った話ではないと思いますが、専門的になればなるほど用語が明確に定義されるものです。人によっ…

【鉄道技術好きの方へ】なぜ列車はガクンと停まったか… 制輪子のお話

1.はじめに 鉄道車両は、多くの場合車輪に制輪子(ブレーキシュー)を押し付けてブレーキをかけます。 今回は、停まる時の衝撃が制輪子材質やブレーキ操作とどのように関係するかというお話です。 2.鋳鉄制輪子を用いた車両の思い出 今から四半世紀以上昔、鹿…

自動張力調整装置 滑車周囲のギザギザ

1.はじめに 日頃何気なく目にしているものであっても、改めてよく見てみると「なぜこういう形になっているんだろう?」と疑問に思うことがあります。今回は線路脇でよく見かける「滑車」の周囲のギザギザに関してです。 2.架空電車線(架線) 電車が走るには電…

電鉄変電所用水銀整流器

写真1 水銀整流器 1983年春、上田交通上田原駅。私は許可を得て構内を撮影していました。現役の車両、廃車体、部品…。そのうち興味深いものを見つけました。ガラス製の水銀整流器(写真1)です。「タコ」という俗称があるそうですが、まさにそのものです。変電…

トムリンソン式密着連結器

写真1 301の連結器 写真2 301の連結器 今回はトムリンソン式の密着連結器です。 日本国内で広く使われている回り子式の密着連結器は突起部で位置決めを行ない、内部の回り子でロックします。これに対して、トムリンソン式は中央付近に見える突起部がフックに…

新幹線の密着連結器

写真1 200系の密着連結器 写真2 200系の密着連結器 写真3 在来線用密着連結器 新幹線にも密着連結器(写真1および2参照)を用いていますが、在来線と相互連結する必要がないため、在来線用(写真3参照)に対していろいろ改良(構造簡易化)されています。 外観的に…

ワンマン運転の形態

ワンマン運転(運行)に関し、運賃収受と乗客安全確保の方法から下記のように分類できるかと思います。 1.運賃収受場所 (1)駅(他の列車と共用の場所で収受する場合) (2)車内(駅における収受より車内収受の方が多い場合) 2.乗客安全確保 (3)ホーム柵あり(可動か…