B08 関東鉄道・筑波鉄道・鹿島鉄道

北陸鉄道キハ5301→筑波鉄道キハ541

昔、能登半島には「能登線」と称する路線が2本ありました。1本目は「国鉄能登線」です。区間は穴水-蛸島で、途中に恋路という素敵な名称の駅がある路線でした。国鉄→JR→のと鉄道と運営の母体が変わり、消滅しました。 2本目の能登線は「北陸鉄道能登線」です…

江若鉄道キハ30→筑波鉄道キハ511 塗色の変化

江若鉄道とか筑波鉄道とか、世間一般ではおそらく知らないことが当たり前の鉄道の、さらに地味な特定の1両だけに関していろいろ記してきました。鉄道という分野を海に例えれば、日本海溝の奥底に転がるひとつの岩に関して書いているようなものです。 日本海…

江若鉄道キハ30→筑波鉄道キハ511 新製部位の謎

昔の地方私鉄には素性のよくわからない車両がかなり存在しました。江若鉄道のキハ30もその一例です。この車両は大鉄車輌工業で1963年に「新製」されたということになっています。しかし、実際に新製した部位はどこなのか、今ひとつよくわかりません。謎を残…

江若鉄道キハ30→筑波鉄道キハ511のTR29改造台車

筑波鉄道キハ511の台車は江若鉄道キハ30新製当初からのものです。では台車も新製されたかというとそうではありません。江若鉄道キハ30が新製されたのは1963年ですが、台車はなんとTR29です。これはもともと国鉄キハ42000形用として設計された台車で、製造初…

江若鉄道キハ30は当初屋根上排気だったというお話

1963年、江若鉄道キハ30として新製された当初は床下に排気管が走り、車端部から立上がって屋根上に排気されていました。 図1 床下排気管経路 図1は当時の写真を基に床下排気管の経路を示したものです。ディーゼル機関の脇に消音器があり、そこから延々と排気…

江若鉄道キハ30→筑波鉄道キハ511 前頭部の変化

江若鉄道C29M形キハ30として1963年に新製されてから筑波鉄道キハ511となるまでの前頭部変化をまとめてみました。 図1 江若鉄道キハ30(新製当初) まず図1は、新製当初の姿です。貫通扉の上部に幌つりを取付ける座がありますが幌も幌座もありません。向かって…

江若鉄道キハ30→キハ5120→関東鉄道・筑波鉄道キハ511の前照灯

昔出かけて撮影した写真を整理しながらいろいろ調べていますが、今回は筑波鉄道キハ511に関してです。 写真1 筑波鉄道キハ511 写真1は筑波鉄道キハ510形キハ511です。 写真2 キハ511と江若鉄道路線概略 写真3 江若鉄道線路跡 この車両は、江若鉄道C29M形(Cは…

関東鉄道キハ900形と異なり国鉄キハ35系は外づり扉となってしまった理由

写真1 関東鉄道キハ900形と国鉄キハ35 関東鉄道キハ900形と国鉄キハ35の側面写真を並べてみました。いずれも3扉で、車内はロングシート、屋根上にはグローブ形通風器があり、典型的な通勤形車両です。さらに、車体幅2800mm(うるさいこと言うと台枠寸法)、車…

筑波鉄道キハ504形の進歩的台車NA302

写真1 キハ504のNA302台車 写真2 キハ702のNA4D台車 写真3 キハ503のNA6台車 写真4 国鉄スハフ12 16のTR217台車 写真1は筑波鉄道キハ504形のNA302台車です。キハ700形のNA4D台車(写真2)は台車枠が鋳鋼製でしたが、キハ504形のNA302台車はキハ500形のNA6台車(…

幌でつながなかったからこそ床面高さを下げられたというお話

貫通扉がある車両どうしは幌で結ぶのが当たり前…と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。 写真1 連結部 写真1は、今から40年ほど前、筑波鉄道で撮影した写真です。左はキハ510形キハ511、右はキハ504形キハ505です。 いずれの車両にも貫通扉はあり…

日車製の気動車キハ500形

タイトルの気動車に関する本がもうじき発売になりますが、今回の記事はその一部を抜粋したものです。 写真1 主要寸法 写真1は、関東鉄道キハ500形キハ502の主要寸法を示したものです。車体は一見前後対称のようですが、排気管が通っている部位は窓の間隔が77…

関東鉄道キハ700形のNA4D台車は東武鉄道5700系のFS106台車と異なりゲルリッツ式ではないというお話

写真1 関東鉄道キハ700形 写真2 関東鉄道キハ703形 写真3 NA4D台車 写真1は関東鉄道キハ700形です。先輩となるキハ703形(写真2)と共にNA4D台車(写真3)を履いています。これに関しては下記の記事でも触れました。 NA4系台車の特徴は、軸箱支持装置(軸箱を台車…

関東鉄道キハ700形雨どいの謎

昔、関東鉄道にキハ700形というディーゼル動車がいました。1957年に日本車輌製造の東京支店で常総筑波鉄道キハ48000形としてキハ48001とキハ48002の2両が新製されました。その後、総括制御化、ブレーキ装置DA化、キハ700形へ改番、ロングシート化、3扉、踏段…

関東鉄道・鹿島鉄道に在籍した国鉄(鉄道省)キハ42000形改造気動車に関する電子書籍発売!

またまた長いタイトルになってしまいましたが、タイトル通りです。今回は関東鉄道グループ(関東鉄道、筑波鉄道、鹿島鉄道)の気動車のうち、顔をとりかえた車両に関してまとめました。具体的には、常総筑波鉄道キハ42002形として新製されたキハ703形、鉄道省…

車体中央がたわんだ国鉄キハ42000形改造車両

写真1 鹿島鉄道キハ600形 写真2 関東鉄道キハ704形 毎度のごとく地方私鉄の地味な車両ばかり掲載しますが、写真1と写真2の車両はもともと国鉄(当時は鉄道省)のキハ42000形ガソリン動車でした。 図3 キハ42000形 1937年に発行された『改訂国産機械図集』から…

TR29とDT19どちらが乗り心地が良かったか

写真1 TR29(動台車) まず、TR29の写真を掲載します。これは鹿島鉄道キハ602のもので、鉄道省キハ42036として1937年に新製された車両です。この写真を撮影した1986年当時すでに約50歳だったわけです。TRと称しますが、右側の輪軸に逆転機が取付けられているこ…

関東鉄道グループの気動車 シル・ヘッダ付の古豪たち

近日、関東鉄道グループ(関東鉄道、筑波鉄道、鹿島鉄道)の気動車に関する電子書籍を発行します。今回はシル・ヘッダを有する比較的小形の車両に関し、『シル・ヘッダ付の古豪たち』として4分冊にまとめました。40年近く前の写真を整理し、さらにその写真を見…

筑波鉄道キクハ10形の台車と逆転機の謎

今から40年近く前に撮影した写真を整理していますが、実にさまざまな発見があります。前回小田急電鉄クハ1650形と比較した筑波鉄道キクハ10形に再び登場してもらいます。…といっても、今回登場するのは台車だけです。ホハ1000形ホハ1001として新製されたとき…

筑波鉄道キクハ10形と小田急クハ1650形

昔、筑波鉄道にはキクハ10形キクハ11という車両が在籍していました。1957年に常総筑波鉄道ホハ1000形ホハ1001(客車扱い)として新製され、翌年キサハ53形キサハ53(気動付随車)と名前を変えました。その名の通り機関を搭載しておらず、他の気動車に引っ張られ…

関東鉄道グループ車両の前後に関するお話

過去に撮影した数多くの写真を現在整理しつつあるところですが、今頃になってようやく気付いた点がいろいろあります。今回は車両の前後に関してです。 図1 前後の標記 乗物にはいろいろな種類がありますが、飛行機でも自動車でも船でも、走るのに得意な向き…

関東鉄道グループ車両の向きに関するお話

過去に撮影した数多くの写真を現在整理しつつあるところですが、今頃になってようやく気付いた点がいろいろあります。 1.路線概略 図1 路線概略 車両の向きのお話をする前に、路線の概略を説明しておく必要があります。 図1は、1980年代の関東鉄道グループ路…

筑波鉄道ジャンパ連結器の謎

いきなり出したのは、国鉄一般形ディーゼル動車のジャンパ連結器に制御引通し線がどのように割り振られているかを示したものです。一般形ディーゼル動車はこのように統一されていたので、キハ17(1950年代生まれ)、キハ58(1960年代生まれ)、キハ47(1970年代生…

キハ410はキハ41000の1/100ではないというお話

昔、鹿島鉄道という鉄道線がありました。そこにはキハ410というディーゼル動車が2両いました。車番はキハ411とキハ412です。これらの車両、生まれをたどると1930年代に製造された鉄道省キハ41000形になります。 キハ41000÷100=キハ410で、面影は1/100程度し…

鹿島鉄道キハ430の排障器?

地方私鉄の車両を見ていると、国鉄やJRの車両とは異なり、個性的な部分があるものです。 写真1 鹿島鉄道キハ430 写真2 鹿島鉄道キハ430 写真1と写真2はいずれも同じ車両の両端ですが、左右の車輪前方に円弧を描く板状の部品が取付けられています。それ単体だ…

窓が小さくなった理由は?

鹿島鉄道キハ430形キハ431とキハ432は加越能鉄道キハ120形のキハ125とキハ126として1957年に新製されましたが、加越能鉄道加越線が1972年に廃止になると職を失いました。幸い翌年、関東鉄道にキハ430として再就職でき、その後関東鉄道から鹿島鉄道が分離して…

続・鹿島鉄道キハ600のジャンパ連結器

鹿島鉄道のキハ600形のジャンパ連結器(車両の制御回路引通し線を接続するためのもの)に関して以前記しましたが、これに関してもうひとつ気になる点があります。 鹿島鉄道キハ600のジャンパ連結器 写真1 キハ551のジャンパ連結器 写真2 キハ614のジャンパ連結…

続・キハ600諸元表の内容確認

鹿島鉄道キハ600形諸元表確認の続きです。 表1 諸元表 表2 形式と車番の変遷 1.液体変速機 諸元表によるとキハ600形の液体変速機はDF115です。ところが、キハ600形に改造する前の関東鉄道キハ42500形キハ42503とキハ42504(それぞれ1968年と1967年の改造以降)…

キハ600諸元表の内容確認

諸元表とは、ある装置の概略を表にまとめたものです。鉄道車両に関しても形式ごとあるいは車両ごとに諸元表がありますが、これに記載された数値が結構ばらついているのです。今回は鹿島鉄道キハ600形に関して諸元表の中身を確認してみます。 表1 諸元表 1.自…

キハ600はキハ610より面長だったというお話

鹿島鉄道キハ600形と関東鉄道キハ610形はいずれも鉄道省キハ42000形として産まれたことを前回記しました。厳密なことを申すとキハ610形キハ611だけは国鉄キハ42500形として産まれましたが、車体形状は同じです。 図1 鉄道省キハ42000形 さて、キハ600形は両…

鹿島鉄道キハ600屋根上排気の謎

鹿島鉄道キハ600形に関して不思議に思うことがあります。屋根上排気なのです。 写真1 キハ602 写真2 キハ602排気管屋根上開口部 写真1はキハ600形キハ602です。左奥にディーゼル機関がありますが、排気は客室中央扉付近床下の消音器を経由して右前方の乗務員…