元小田急電鉄「5000形」と御殿場線そして関東鉄道キハ751形

 

 小田急電鉄「5000形」と聞いてどのような車両を思い浮かべるでしょうか。「2020年に登場した10両編成のステンレス車体の電車」でしょうか。それとも「1969年に登場した4両固定の、アイボリーに青帯を巻いた電車」でしょうか…。

 実は、5000形を名乗る小田急電鉄の車両として、「1955年に登場の気動車」すなわち「キハ5000形」が存在しました。当時非電化だった国鉄御殿場線に乗入れるため、小田急電鉄気動車を所有していたのです。

 その後、1968年に国鉄御殿場線は電化されました。小田急電鉄は電鉄会社ですから、もともと電車を多数保有しています。わざわざ構造の異なる気動車を抱えている必要はありません。登場して10数年の(鉄道車両としてはまだまだ働き盛りの)気動車たちは第2の職場として、関東鉄道に引っ越したのでした。

 余談ですが、1968年にキハ5000形がいなくなり、1969年に初代5000形電車が登場しています。2代目5000形電車も初代5000形電車消滅後の登場なので、小田急電鉄として異なる「5000形」が同時に存在していたわけではありません。


写真1 関東鉄道キハ751形

 関東鉄道に引っ越したキハ5000形は外吊り扉を追加され、写真1のような個性的な外観となり、キハ751形を名乗りました。おでこの両側に突出しているのは小田急電鉄時代に使っていた通過標識灯の跡です。

 勾配線区である御殿場線のためにディーゼル機関を2台搭載していましたが、真っ平な関東平野をたらたら走る関東鉄道には出力過剰とみなされたのか、制御車や付随車と連結して走っていることが多かったようです。キクハ1形と連結されていることもありましたが、これは小田急電鉄時代の電車と気動車が手をつないでいるわけで、なんとも不思議な光景でした。

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さかてつでした…