車体中央がたわんだ国鉄キハ42000形改造車両

 

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写真1 鹿島鉄道キハ600形

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写真2 関東鉄道キハ704形

 毎度のごとく地方私鉄の地味な車両ばかり掲載しますが、写真1と写真2の車両はもともと国鉄(当時は鉄道省)のキハ42000形ガソリン動車でした。

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図3 キハ42000形

 1937年に発行された『改訂国産機械図集』から、「鉄道省二軸ボギー三等ガソリン動車」「定員:座席68人 立席52人」「自重:25.56t」と称する車両の図を引用掲載します。床下機器名称は私が追記したものです。(国立国会図書館ウェブサイトから引用、著作権保護期間は満了済)

 この車両こそ鉄道省キハ42000形(製造初年1935年)です。当時最新鋭のガソリン動車でした。車体前後の平面形が楕円となっている点が特徴です。動力源はガソリン機関GMF17、変速機は機械式4速で、駆動系部品の多くはキハ41000形と共通でした。ただし高速運転に備え、逆転機の最終段歯車比をキハ41000形の17:43に対して19:41に変更し、減速比を3.489から2.976としました。この値はその後30年間以上に渡って国鉄一般形の標準となっています。屋根上の前照灯、妻面の尾灯は図中に記されていませんが、付属品の扱いだったようです。

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 前置きが長くなってしまいました。このキハ42000形が私鉄に払下げられ、さらに改造されたものが写真1と写真2の車両たちです。写真をもう一度よくご覧ください。車体中央付近がたわんでいます。軽量化を重視してつくられたキハ42000形でしたから、もともと強度が不足気味だったのかもしれません。

 キハ600形(写真1)の側面は比較的キハ42000形の原形を留めていますが、キハ704形(写真2)は、客室扉の踏段をなくしています。また、中央の客室扉を両開きに改造すると同時に前後の客室扉よりも低い位置にしています。車体を輪切りにすると中心付近から扉に向かって床がゆるく傾斜しているのです。客室扉とプラットホームの段差を減らして乗降しやすくしようという意図が伺えますね。なお、この改造がたわみを助長したのかどうか定かではありません。

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ちかてつ
さかてつでした…