江若鉄道キハ30→筑波鉄道キハ511のTR29改造台車

 筑波鉄道キハ511の台車は江若鉄道キハ30新製当初からのものです。では台車も新製されたかというとそうではありません。江若鉄道キハ30が新製されたのは1963年ですが、台車はなんとTR29です。これはもともと国鉄キハ42000形用として設計された台車で、製造初年は1935年です。もちろん、江若鉄道キハ30に使用されたTR29そのものがこの年に製造されたわけではないでしょうけれど、TR29が国鉄において新製されたのは1952年のキハ42500形42600番代あたりが最後のはずですから、10年以上は経過しています。

 具体的にどの車番のものかは不明ですが、キハ30新製時に取付けられたTR29は国鉄から譲り受けたものとされています。

写真1 筑波鉄道キハ511のTR29台車

写真2 関東鉄道キハ614のTR29台車

 写真1は筑波鉄道キハ511すなわち江若鉄道キハ30の台車です。ただし、純粋なTR29に対していろいろと手が加えられています。比較のため、関東鉄道キハ614のTR29台車を写真2として掲載します。

 TR29の上枠は断面が厚さ25mm×幅100mmの平鋼ですが、キハ511、キハ614いずれも、その上面に補強材が取付けられています。

 一方、下枠は断面が厚さ16mm×幅100mmの平鋼ですが、キハ511の場合はその下面に山形鋼(アングル鋼)が取付けられています。下枠の補強材は江若鉄道キハ30として新製された当初からのものです。山形鋼の寸法は、写真より比例計算で幅100mm×高さ100mmであることがわかります。

写真3 泥除け

 ちなみに江若鉄道キハ30新製当初は写真3のように円弧状の泥除け(あるいは排障器)も取付けられていましたが、1969年時点すなわち江若鉄道時代にはすでに撤去されています。意味がなかったということでしょう。

 補強材にしても泥除けにしても、江若鉄道には心配性の方がいたということのようです。

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ちかてつ
さかてつでした…