鹿島鉄道キハ600屋根上排気の謎

 鹿島鉄道キハ600形に関して不思議に思うことがあります。屋根上排気なのです。

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写真1 キハ602

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写真2 キハ602排気管屋根上開口部

 写真1はキハ600形キハ602です。左奥にディーゼル機関がありますが、排気は客室中央扉付近床下の消音器を経由して右前方の乗務員室扉付近で立上り、写真2のごとく屋根上に開口しています。

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写真3 キハ614

 一方、写真3は関東鉄道キハ610形のキハ614です。写真の向きはキハ602(写真1および写真2)と合わせてあり、左奥がディーゼル機関のある側です。ところがキハ614の屋根上には排気管開口部が見えません。床下排気だからです。

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写真4 キハ614排気管床下開口部

 写真4は写真3と反対側の床下です。ディーゼル機関からの排気管はこちら側に回り込み、床下に排気しています。キハ610形は床下排気なのです。

 
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 ここまでお読みになって、「違う形式だから排気管の開口部が屋根上だったり床下だったりするのは不思議ではないだろう」と思われたかもしれませんが、キハ600形とキハ610形はいずれも鉄道省キハ42000形として産まれています。そしていずれも1970年代、関東鉄道時代(鹿島鉄道が分離する前)に総括制御化と妻面の大改造を実施されているのです。ちなみにキハ42000形は床下排気でした。

 キハ600形が改造されたのは1972年、キハ610形の改造は1974~1975年です。「当初はいずれも屋根上排気にする予定でキハ600形2両はその通りにしてみたけれど、想像以上に改造の手間がかかるため、キハ610形5両に関しては床下排気のままにして改造費用を節約した…」ということも考えられます。しかしそうなると、キハ600形よりもさらに前(1965年)にキハ42000形を改造したキハ704形が床下排気のままだったのはなぜ?ということになります。謎です。

 キハ42000形:床下排気

 キハ704形(1965年改造):床下排気のまま
 キハ600形(1972年改造):屋根上排気に大改造
 キハ610形(1974~1975年改造):床下排気のまま

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…