キハ410はキハ41000の1/100ではないというお話

 昔、鹿島鉄道という鉄道線がありました。そこにはキハ410というディーゼル動車が2両いました。車番はキハ411とキハ412です。これらの車両、生まれをたどると1930年代に製造された鉄道省キハ41000形になります。
 キハ41000÷100=キハ410で、面影は1/100程度しか残っていないんだな…と思ったら、そういうわけではありません。

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写真1 キハ411

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写真2 キハ41000形

 写真1はキハ411です。もう一方のキハ41000ですが、さすがに1930年代の姿は見たことがありません。そこで、国立国会図書館ウェブサイト掲載『略圖のガソリン動車』(同書の著作権保護期間は満了済)から引用して写真2に掲載しました。これらの外観を比較すると、お面の窓数(2枚か4枚か)こそ違いますが、それ以外は大差なさそうです。

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表3 主要諸元比較

 それではキハ410とキハ41000の中身(性能面)ではどう差異があるのか…ということで、主要諸元を比較してみました(表3)。

【定員】キハ410はロングシートに改造されています。したがって、車内の状況はキハ41000(写真2)とは異なっています。また、定員や座席人数も変わっています。まあ、この程度の改造はよくある話です。
【自重】キハ410の自重は形式図によると23.3t、現車記載の22.7tです。キハ41000よりも3t程度重いようです。これは液体式になったり総括制御用の機器を搭載したから…ということのようです。
【最大長】台枠を始めとした構体の寸法は変わっていないことになります。
【最大幅】キハ410場合は客室扉脇の手すり先端です。キハ41000は靴ズリ先端が最大幅のようですが、現実には客室扉脇の手すりの方が突出しています。実は両形式とも2730mmというのが正しいのではないでしょうか。ちなみに車体幅はいずれも2600mmです。
【最大高】キハ41000の場合は屋根上通風器が最大高です。しかしのちに前照灯を屋根上取付けに改造され、それが引継がれてキハ410の最大高は前照灯上部となってます。車体自体が変わっているわけではありません。
【台車】これは変わっていません。
【機関】形式はDとGの一文字違いですが、ガソリン機関からディーゼル機関に換装されています。
【変速機】これも機械式から液体式に換装されており、キハ41000の原形は留めていません。
【逆転機】これは変わっておらず、減速比もそのままです。
【ブレーキ装置】これも変わっていません。キハ41000がそのまま保存されている感じです。

…結局、座席、機関と変速機以外はほとんど変わっていないことがわかります。

 上記より、キハ410=キハ41000÷100ではなく、キハ410≒キハ41000と言えそうです。

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ちかてつ
さかてつでした…