筑波鉄道ジャンパ連結器の謎

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 いきなり出したのは、国鉄一般形ディーゼル動車のジャンパ連結器に制御引通し線がどのように割り振られているかを示したものです。一般形ディーゼル動車はこのように統一されていたので、キハ17(1950年代生まれ)、キハ58(1960年代生まれ)、キハ47(1970年代生まれ)をごちゃまぜにしても問題なく総括制御で走れたのです。もし統一されていなかったら、「キハ17とキハ47は総括制御可能だけど、キハ58はダメだなぁ」という話になるわけです。

 私鉄においても同じ話で、ジャンパ連結器における制御引通し線割り振りが異なると、総括制御できないか、できたとしても制約が生じることになります。

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写真2 筑波鉄道キハ461(キハ460形)

 写真2は鉄道省キハ41000形ガソリン動車として生まれたキハ460形ですが、あちらこちらの鉄道を流転しながら改造に改造を重ねています。総括制御改造されたのは関東鉄道の筑波線時代、1973年です。ちなみにこの写真を撮影したのは筑波鉄道時代の1985年で、もう休車状態でかなり傷み始めていました。

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写真3 筑波鉄道キハ461

 写真3を見ると、連結器寄りのジャンパ栓受の蓋が開いたままの状態になっています。本来ならばねで自動的に閉まるはずですが、蝶番が錆びついて蓋が戻らなくなっているようです。そこで、撮影させていただくことにしました。

 そして…この写真はこのまま36年間眠り続けます…zzz

 2021年…この写真は目を覚ましました。

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写真4 ジャンパ連結器の制御引通し線

 写真4は、蓋が開いているジャンパ栓受(制御用)と、制御引通し線割り振りです。撮影36年経過後に初めて気づいたのですが、青文字の部分が国鉄標準と異なります。補助用のジャンパ栓受は蓋が開いていなかったので中身は確認していませんでしたが、接地線(100線)は必須だし、放送用407線と408線は対になっているので、おそらく赤文字のようになっているものと推定されます。

 キハ460形がこのようになっているということは、筑波鉄道(←関東鉄道筑波線←常総筑波鉄道)用車両のジャンパ連結器はすべて写真4のようになっている可能性が高いということです。

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 私鉄車両めぐり関東(Ⅰ)『鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション29』鉄道図書刊行会,2014 を参照すると、こんな記述があります。ちょっと引用します。

「…500形2両連結…国鉄気動車と回路が違うため、総括制御ができず、協調運転を実施…」「…使用車をキハ800形と交替したため、総括制御が可能となり…」

 キハ500形(1959年製)は当初から総括制御可能で放送装置も備えていましたが、上記の記述内容より「国鉄標準では1線と100線(3本ずつ)になっているところを407線と408線(1本ずつ)に割り振り、さらに1線と100線(残り2本ずつ)を制御用と補助用で入替えた状態で新製した」可能性が高そうです。放送用ジャンパ連結器を用いないで放送用の線を押込んだということなのでしょう。キハ460形も同様に制御引通し線が割り振られたのではないでしょうか。

 ところで、407線と408線が2つのジャンパ連結器に入っている理由はわかるのですが、1線と100線を入替えた理由はわかりません…謎です。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…