過去に撮影した数多くの写真を現在整理しつつあるところですが、今頃になってようやく気付いた点がいろいろあります。
1.路線概略
車両の向きのお話をする前に、路線の概略を説明しておく必要があります。
図1は、1980年代の関東鉄道グループ路線概略です。4路線いずれも国鉄(JRではありません)常磐線に接続しています。取手駅から関東鉄道常総線、佐貫駅(龍ケ崎市駅ではありません)から関東鉄道竜ヶ崎線が出ており、土浦駅からは筑波鉄道、石岡駅からは鹿島鉄道が出ています。また、鹿島参宮鉄道(鹿島鉄道と竜ヶ崎線の前身で、現在の関東鉄道の母体)時代には鹿島まで伸ばす構想がありました。鹿島参宮鉄道というとお参りのための鉄道ということになり、今では理解しづらい話ですが、戦前はこのような鉄道が日本中にいくつもありました。
しかし名前に反して線路は鉾田駅と竜ヶ崎駅までしか伸びず、霞ヶ浦(霞ヶ関ではありません)の北から南まで連絡船で鹿島「近く」まで一時的に結んだだけで終わっています。
2.連結運転用装備の向き
鉄道車両は連結運転を前提としているので、人間に例えると神経のようなものを車両間に引通す必要があります。こうすることにより全車両が息を合わせて走れるわけです。具体的には制御指令引通し用のジャンパ連結器であったり、ブレーキ関係の空気ホースであったりします。申すまでもありませんが、連結する車両同士はこれらを統一しておく必要があります。多くの場合、路線ごとあるいは鉄道会社ごとに統一してあるものです。
それでは関東鉄道グループの場合はどうなのかをまとめたものが図2です。まず4路線それぞれの車両に関して、図の下側にジャンパ連結器(使用側)が来るように統一して並べてみました。ところが、ブレーキ関係ホースの取付位置はそろいません。細かく見るとブレーキ管ホース取付位置は全車両同じになるのですが、元空気溜管ホース取付位置が筑波鉄道、関東鉄道常総線、竜ヶ崎線で異なるのです。それでも鹿島鉄道と関東鉄道竜ヶ崎線だけは取付位置が同じになっていますね。
路線ごとにそろっていれば問題はないということにはなりますが、何か規則性はないのだろうかと、考えてみました。図1の路線概略も参照しながらお読みください。
3.ジャンパ連結器の取付位置に関して
筑波鉄道、関東鉄道常総線、鹿島鉄道の車両に関してですが、土浦駅、取手駅、石岡駅で国鉄常磐線に移動させると、常磐線上においてジャンパ連結器の向きが東側にそろいます。なるほど、そういうことか!と納得しかけたのですが、竜ヶ崎線の車両だけは常磐線上においてジャンパ連結器が西側になってしまいます…。
ひょっとすると鹿島参宮鉄道時代に、関係者はこんなことを考えていたのかもしれません。
「いつの日か、鹿島まで鉾田線(鹿島鉄道)と竜ヶ崎線が伸びることだろう。その時には竜ヶ崎駅→鹿島駅→鉾田駅→石岡駅と一本の路線になる。これに合わせて車両のジャンパ連結器と元空気溜管ホースの取付位置をそろえておこう…」
ジャンパ連結器と共に、元空気溜管ホースの取付位置に関して鹿島鉄道と関東鉄道竜ヶ崎線だけ一致している理由も、これならば説明が付きます。
4.元空気溜管ホースの取付位置に関して
それでは残りの筑波鉄道と関東鉄道常総線に関して元空気溜管ホースの取付位置が異なっている理由は何なのでしょうか?
筑波鉄道と関東鉄道常総線は昔、常総筑波鉄道というひとつの会社でしたから同じになっていても良さそうですが…岩瀬駅と下館駅で国鉄水戸線に移動させても元空気溜管ホースの位置はそろいません。
…謎です。
以上
ちかてつの
さかてつでした…