TR29とDT19どちらが乗り心地が良かったか

 

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写真1 TR29(動台車)

 まず、TR29の写真を掲載します。これは鹿島鉄道キハ602のもので、鉄道省キハ42036として1937年に新製された車両です。この写真を撮影した1986年当時すでに約50歳だったわけです。TRと称しますが、右側の輪軸に逆転機が取付けられていることからわかる通り、動台車です。とにかく軽量化するためにムダを削り、ごらんの通り帯板細工となっています。

 実際に鹿島鉄道キハ600形に乗ってみると、結構ばねが効いていました。線路が悪くてバウンバウンと上下によく揺れましたが、決して硬い乗り心地ではありませんでした。

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写真2 キハ704(1977年)

 こちらは関東鉄道キハ704です。鉄道省キハ42004として1935年に新製された車両で、台車も同じくTR29でした。顔をとりかえて写真2のようになりましたが、この頃はまだTR29を履いていました。

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写真3 キハ704(1988年)

 写真3は、台車を履き替えた後の写真です。関東鉄道常総線のように乗客の多い路線でTR29のように華奢な台車を使い続けるには強度的不安があったのかもしれません。1983年にDT19とTR49に交換されています。ちょうど同時期にキハ310(国鉄キハ17の部品流用車)がDT19とTR49からDT22A,BとTR51A,Bに履き替えており、余剰となったDT19とTR49をより古いキハ704に回したのだろうと思います。

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写真4 DT19(動台車)

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写真5 TR49(付随台車)

 一般的な台車では上揺れ枕と下揺れ枕の間にばねが入るものですが、DT19およびTR49では防振ゴムが入っているだけです。実質的に枕ばねがないようなものです。ブレーキ時は特に乗り心地が悪く、ごつごつした硬い乗り心地でした。

 キハ704はTR29からDT19に台車を替えたわけですが、乗り心地という点からは決して良い方向ではなかったように思います。

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ちかてつ
さかてつでした…