【地下好きの方へ】トンネルが外濠の下でねじれているお話

1.はじめに

 東京メトロ飯田橋駅市ヶ谷駅のに間は、南北線有楽町線が走っています。ただし地図により、これらの路線経路の記され方はさまざまです。現実にはどのような経路で走っているのか…というのが今回の記事です。

2.南北線市ヶ谷駅-飯田橋駅間で有楽町線の下をくぐっている

 飯田橋駅の構造は、西側が有楽町線、東側が南北線になっています。一方、市ヶ谷駅は、西側が南北線、東側が有楽町線です。位置関係が反転しているのは、飯田橋駅市ヶ谷駅においてそれぞれの路線が伸びていく方向に適した配置になっているからです。

 飯田橋駅-市ヶ谷駅間に関しては、まず1974年に有楽町線池袋駅-銀座一丁目駅間が開業しています。池袋駅方面から走ってきた有楽町線飯田橋駅南方で外濠の中(地下)に入り、市ヶ谷駅までそのまま外濠の中を走っています。

 有楽町線開業の約20年後(1996年)、南北線四ツ谷駅-駒込駅間が開業します。目黒駅方面から走ってきた南北線市ヶ谷駅付近から外堀通の下を走りますが、途中から外濠の中に入り、有楽町線の下をくぐって東側に出て飯田橋駅に至ります。

 あとからできた南北線は、外堀の中で有楽町線と斜めに立体交差しているのです。

3.路線経路と現地状況

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写真1 空中写真(1975年1月)

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写真2 空中写真(1975年1月)

 いつもなら最近の空中写真を掲載するところですが、今回は有楽町線工事中(45年前)の空中写真(写真1)を掲載します。市ヶ谷駅付近の建設状況、新見付橋の換気口などがよくわかるからです。新見付橋の換気口に関しては【外濠の水の下は…有楽町線】という記事に掲載してあります。

 写真2は写真1に有楽町線南北線の経路を重ねたもので、それぞれの路線の位置関係がわかります。また、市ヶ谷駅には南北線有楽町線を結ぶ連絡線があります。なお、同写真中の③~⑩はトンネル内部写真撮影場所です。

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写真3 市ヶ谷駅有楽町線ホーム

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写真4 連絡線

 写真3は市ヶ谷駅有楽町線ホームです。ごくありふれた地下鉄駅の風景ですが…飯田橋駅寄りまで歩いていくと、壁の向こうから斜めに近づいてくる線路が見えます(写真4)。南北線有楽町線を結ぶ連絡線(写真2中の赤い線)です。

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 次に市ヶ谷駅から南北線の電車に乗り、南北線有楽町線の下をどのようにくぐっているか、南北線の電車後部から地下トンネル内の状況を確認しました。

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写真5 南北線市ヶ谷駅

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写真6 外濠に入るあたり

 写真5は市ヶ谷駅を発車した直後(写真2の⑤)です。外堀通の屈曲に従ってトンネルは若干左に曲がります。

 南北線の電車は外堀通の下をしばらく走りますが、新見付橋の北で少し進路を右に変えて外濠の下に徐々に入り込みます(写真6)。写真2の⑥あたりですが、有楽町線をくぐるために下り勾配になっています。

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写真7 有楽町線との交差部

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写真8 進路変更部

 写真7は、有楽町線との交差部付近(写真2の⑦)です。下り勾配から登り勾配に転じていることがわかります。

 有楽町線の下をくぐり抜けると、写真8のように飯田橋駅に向かって左曲線で進路を変更します。写真2の⑧のあたりです。

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写真9 進路変更完了部

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写真10 南北線飯田橋駅

 写真9は進路変更が終わった地点(写真2の⑨)です。南北線の電車はそのまま飯田橋駅(写真10、写真2の⑩)に滑り込みます。

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写真11 飯田橋駅の上

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写真12 外堀通(飯田橋駅の上)

 写真11および写真12は、飯田橋駅の真上の風景です。いずれも北から南の方を見た状態ですが、写真11は南北線飯田橋駅の真上付近、写真12は有楽町線飯田橋駅の真上付近になります。

 実を申すとこのあたりは千代田区と新宿区の区境で、境目好きの私としてはこの面においても大変興味深い場所なのですが、記事にするのはまた別の機会にしたいと思います。

4.まとめ

 飯田橋駅の構造は、西側が有楽町線、東側が南北線になっています。一方、市ヶ谷駅は、西側が南北線、東側が有楽町線です。位置関係が逆になるため、南北線市ヶ谷駅-飯田橋駅間で有楽町線の下をくぐります。これは、有楽町線が先に開業し、約20年後に南北線が開業したためです。市ヶ谷駅には両路線を結ぶ連絡線があります。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。