1.はじめに
小石川に「こんにゃくえんま」があります。この近くを東京メトロ南北線が登山電車のように走っています。では、具体的にどのように走っているのでしょうか…というのが今回の記事です。ちなみに「こんにゃくえんま」の由来は下記の通りです。
昔々、眼の悪いおばあさんが閻魔大王様にお祈りしました。そうしたら夢に「私の眼をあげよう」と大王様が出てきて、その後おばあさんの眼は治ったそうです。おばあさんは大いに感謝して好物のこんにゃくをお供えしたとか…。それ以来、眼の病を治す「こんにゃくえんま」として信仰を集めています…。
2.南北線の経路
南北線建設史を参照すると、後楽園駅から東大前駅に至るまでA線進行方向に下記のように曲線が連続しています。直線もわずかにあるのですが、後楽園駅-東大前駅間の約90%が曲線になっています。
半径165m右曲線
直線
半径205m左曲線(菊坂下換気室あり)
直線
半径225m左曲線
半径270m右曲線
半径180m左曲線
勾配に関しても同様で、後楽園駅を出てから約100mは19.5‰下り勾配、その後の約9割は35‰の連続登り勾配です。実際に電車に乗ってみると、右へ左へと曲がりながら、あまり速度も上げずに走っており、地下の「登山電車」という感じです。
ちなみにこの区間は外径9.8m複線シールドトンネルです。
3.地上風景
南北線後楽園駅-東大前駅間の前半の経路を写真1に示します。千川通真下の後楽園駅を出ると、半径165m曲線で右に曲がり始めます。西片交差点で白山通真下の三田線をくぐると短い直線区間になります。この付近から35‰連続登り勾配になり、菊坂交差点を半径205m左曲線で通過します。なお写真1中の①~③は建物の番号です。
写真2は、千川通で建物②(黄色)と建物①(淡緑色)を見たところです。
建物①(写真2右手前)は南北線トンネルの上に建っています。竣工は1998年で、この区間の南北線開業(1996年)よりあとです。南北線トンネルと干渉しないような基礎構造になっているはずですが、具体的にどのようになっているのか、ネット検索しても見つけられませんでした。
写真3と写真4は建物②です。平面形が階段状になっているのが特徴です。竣工は2002年で、やはり南北線よりあとです。この建物の場合は、基礎が南北線トンネルと干渉しないように平面形を階段状にしたものと考えられます。
写真5は千川通で建物①を撮影したものです。私の足元から奥の方に向かって南北線が走っています。しかしこうして見る限り、足元に地下鉄のトンネルがあることなど全くわかりません。
それに対して写真6の建物②は、南北線トンネルと干渉しない平面形状で建てられていることがよくわかります。写真右手前から建物①の下を走ってきた南北線は、写真6正面に見える白い柵の下にもぐり込んでいきます。
余談ですが、建物②の1階にある魚雷という店は結構有名なんだそうです。
写真7はこんにゃくえんま前交差点風景です。右に見えるのは建物②、その左隣りは建物③です。南北線は建物②の奥を通り、建物③の下に一部かかりながら写真7左奥に向かって半径165mで曲がっていきます。こんにゃくえんま前交差点は通っていません。
写真8の奥には建物①、右奥には建物②、その手前には建物③が見えます。南北線は建物①の下から建物②の左側を通り、建物③の下をかすめて左手前に向かって走ってきます。建物③は5階床と低いため、南北線トンネルにかかっていても荷重的に問題ないのでしょう。
写真9は西片交差点です。南北線は私の足元からまっすぐ写真奥に向かって走っています。南北線と直交するのは白山通で、この下を三田線が走っています。道路だけでなく地下鉄も交差しているのですが、そうと知らないとわかりません。南北線はこの交差点を越えたところで短い直線区間になると共に、35‰登り勾配にさしかかります。
4.まとめ
後楽園駅から東大前駅まで、南北線は急曲線・急勾配の連続です。最初の曲線はこんにゃくえんま前交差点の近くの建物の下を走っています。「こんにゃくえんま」の信仰内容と南北線の経路は、あまり関係ありませんが…。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。