【地下好きの方へ】外濠公園付近の地下はどうなっているか

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1.はじめに

 東京メトロ南北線四ツ谷駅市ヶ谷駅、いずれも外堀通の下にあります。しかし両駅間の外堀通はうねっており、この真下を素直に南北線が走っているとは思えません。案の定、各種の地図を参照するとその経路は少しずつ異なっています。では、実際にどこを走っているのか、そして地下にはどのような構造物があるのか…というのが今回の記事です。

2.南北線の経路

 南北線がどこを走っているかということに関して、いちばん信頼できるのは南北線建設史です。

 これによると、四ツ谷駅の北から半径403m右曲線になります。そして雪印メグミルクの前あたりで外堀通の下から外れ、外濠公園を斜めに突っ切ってから再び外堀通の下にもぐり込みます。しかし、この先外堀通の下を素直に市ヶ谷駅まで進むわけではありません。南北線はなんと外濠(市谷濠)に入り込み、半径453m左曲線で向きを変えてから市ヶ谷駅近くでようやく外堀通の下に戻ります。

 南北線四ツ谷駅から市ヶ谷駅までの区間は外径9.5m複線シールドトンネルで、外濠公園の地下には中間換気室(外濠公園換気室)があります。南北線市ヶ谷駅有楽町線市ヶ谷駅と並ぶように建設され、両路線間に連絡線と留置線があります。さらに四ツ谷駅方向に引上線(単線箱型構造)が伸びています。この引上線は完全に外濠の中(地下)です。

3.地上風景

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写真1 空中写真(2017年5月)

 まず、南北線四ツ谷駅北方から市ヶ谷駅南方までの経路を写真1に示します。この区間は屈曲した外堀通を避け、外濠公園と外濠の下を走っています。建設史には、外濠公園と外濠が接するあたりに外濠公園換気室がある旨、記載されています。写真1中?印がそうではないかと思いますが、現在下水道管工事のため確認不能です。

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写真2 外堀通から外れるあたり

 写真2は、外濠公園の中から外堀通を見たところです。写真正面に司法書士会館と雪印メグミルクが建っていますが、四ツ谷駅方面(写真左側)から走ってきた南北線はこのあたりで外堀通の下から外れ、手前側(外濠公園)に入り込んできます。このあたり、半径403m右曲線です。

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写真3 外濠公園

 写真2を撮影した場所で体の向きを120度ほど右に回すと、写真3のような風景になります。南北線は写真手前から奥に向かって走ります。正面に見える変電施設は外濠公園のもので、南北線とは関係ありません。

 この外濠公園は新宿区と千代田区の区境になっていますが、南北線は新宿区内のみを走っています。

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写真4 外濠公園

 半径403m右曲線で外濠公園を斜めに突っ切った南北線は、写真4のあたりで再び外堀通に戻ります。写真奥に司法書士会館と雪印メグミルクの建物が見えることからわかるように、外濠公園を突っ切っている距離はそんなに長くありません。せいぜい200m弱といったところです。

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写真5 外堀通

 写真4と同じ場所で体の向きを180度変えると写真5のようになります。左から斜めに接近してくるのが外堀通で、南北線はこの外堀通の下に合流する感じでもぐり込みます。

 この先外堀通は左に少し曲がりますが、南北線は逆に右へ反れ、外濠(市谷濠)の下にもぐり込みます。

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写真6 下水道管工事現場

 写真6は外濠公園と外濠の境目付近で施工されている下水道管工事の現場です。南北線建設史によるとこのあたりに南北線の外濠公園換気室(立坑)があるはずですが、写真1中?印を囲むように大きな仮設建物で覆われているため、このあたりの状況は確認できません。

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写真7 現場案内図

 現場の案内図(写真7)によると、深さ55mの立坑を建設して内径2.8mと内径3mの2本のシールドトンネルを掘削しているそうです。つまりこのあたりには南北線と下水道管という2組の「立坑とシールドトンネル」があるわけです。外濠公園の下は穴だらけということですが、そうと知らないと全く気づきません。

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写真8 外濠越しのJR市ヶ谷駅

 外濠公園換気室近くを通った南北線は、写真8付近で外濠(市谷濠)の中にもぐり込みます。半径453mで若干左に向きを変えたのち、JR市ヶ谷駅対岸の南北線市ヶ谷駅に滑り込みます。

 南北線の本線は外濠内を写真右手前から左に向かって走っていますが、それと並行して引上線も外濠の中にあります。

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写真9 市ヶ谷駅7番出口付近

 外堀通と外濠(市谷濠)に挟まれたところに、市ヶ谷駅7番出口があります(写真9)。この出口は南北線市ヶ谷駅のいちばん南側の出口になります。外濠の中を走ってきた南北線はこのあたりで外堀通の下にもぐり込み、この先外堀通の下を市ヶ谷駅プラットホームに向かってまっすぐ進みます。

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写真10 市ヶ谷駅

 写真10は、南北線市ヶ谷駅に停車中のA線電車から後方を撮影したものです。本線に両渡線があり、その左奥に引上線が分岐していることがわかります。このあたりは外堀通の下に開削工法で建設されたものです。

 引上線が分岐しているあたりから奥(四ツ谷駅寄り)は、本線も引上線も外濠の水の下になります。

4.まとめ

 四ツ谷駅から市ヶ谷駅までの間、屈曲している外堀通を避けて、南北線は外濠公園と外濠(市谷濠)の中をS字状にうねりながら走っています。外濠公園と外濠の境目付近には南北線と下水道管という2組の「立坑とシールドトンネル」があります。このあたりの地下は穴だらけです。外濠の水の下には、南北線の本線トンネルと引上線トンネルがあります。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】本ブログ中の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データを私が編集・加工したものです。