181系気動車(その4) 反力軸

181系には反力軸というものがあります。ディーゼル機関と液体変速機は一体になって車体に吊り下げられていますが、推進軸を回転させることにより「機関+変速機」はその反力で回転しようとするため、反力軸で支えるというものです。

反力軸は推進軸と同様に変速機と第一減速機を結んでおり、自在継手で変速機と第一減速機に取付けられています。もちろんその目的上、回転しません。

初めてこのことを知った時、「反力を支えるだけなら従来の気動車と同様、機関から枕木方向に腕を伸ばして車体に取付ければ良いだけの話じゃないか。」と思ったものです。しかし説明書(構造解説書)をよく読むとなかなか考えられているということがわかりました。すなわち…

「床下搭載の機関からの振動をいかに客室から絶縁するかが課題。そこで、機関の重心を通る直線上の2か所をやわらかい防振ゴムで支える。これで振動の伝搬をほぼなくした状態で質量を支持できる。ただしこれでは反力で機関が回転してしまうので、その反力を反力軸で受けて第一減速機で支える。減速機はばね下なので、回転振動は車体にほとんど伝搬しない。」…というものです。

うまいこと考えたなぁと思いましたが、構造が複雑になると同時にばね下荷重が大きくなります。そもそもディーゼル機関の振動が少なければこんなめんどうなことやらなくてよいわけです。実際、JRになってから製造された気動車に反力軸は見当たりません。

「そもそも」を見失わないようにしないといけないと思うと同時に、こういうディーゼル機関を使わざるを得なかった国鉄技術陣の苦悩も感じた次第です。