181系気動車(その3) 差圧検出器とは?

181系気動車が電磁自動空気ブレーキであることは鉄道雑誌にも掲載されています。で、「従来の気動車と同様、ブレーキ弁に電気接点が内蔵されているんだろう」程度に思っていました。ちなみに従来形気動車用ME23Bブレーキ弁には「常用ブレーキ」「非常ブレーキ」位置にブレーキ接点(235線加圧)が、「保ち」位置にゆるめ接点(236線加圧)があります。

それに対してセルフラップ式の場合はどうなっているのか、吸排弁部に接点内蔵するのもたいへんそうだし…と思って説明書のブレーキ弁の図を見たら、セルフラップ部に電気接点はありません。説明文を読むと、こんなことが書かれています…

「ブレーキ指令を出す時のBP(ブレーキ管)枝管に設けた絞りの前後に生じる微差圧を検出して作動する電気接点(ブレーキおよびゆるめ)の開閉により電磁弁を消励磁する」

「大形円板状の膜板付接点を持った差圧検出器を使用している」

差圧検出器とは電磁直通空気ブレーキにおける電磁直通制御器と同じようなものかなと思ったのですが、説明書をよく読むと違うようです。(付図があればすぐわかるのですが、残念ながら本文だけしか入手できていません。)

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電磁直通空気ブレーキの場合、ブレーキ弁の出力はCP(制御管)圧力として電磁直通制御器に導かれます。電磁直通制御器はCP圧力とSAP(直通管)圧力を比較し、SAP圧力が低い場合は、219線加圧(接点閉)で各車のゆるめ電磁弁を励磁し(閉じ)、さらに218線加圧(接点閉)で各車のブレーキ電磁弁を励磁(開)します。これによりSAPにSR(供給空気溜め)から空気が供給されます。SAP圧力がCP圧力と同じになると218線は加圧されなくなります。逆に、ブレーキ弁操作でCP圧力が下がると(相対的にSAP圧力が高くなると)218線加圧をやめ、各車のゆるめ電磁弁を開いてSAP圧が下がります。

ここで注意すべきは、ブレーキ弁のCPはSAPには通じていないということと、電磁直通制御器が故障するとこのブレーキシステムは機能しない(フェールアウト)ということです。

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一方181系の電磁自動空気ブレーキの場合、ブレーキ弁の出力はBP圧力であり、このBPは列車全体に引通されています。BPが減圧方向にある時は差圧検出器が18線を加圧し、次車以降においてブレーキ電磁弁がBPを排気減圧します。ブレーキ弁でBPを加圧している時は差圧検出器が19線を加圧し、次車以降においてゆるめ電磁弁がBPに給気します。

ブレーキ弁で制御するBPはそのまま列車全体に引通されているということと、差圧検出器が故障してもブレーキシステムは純空気式となるだけで機能は維持されるという点が特徴です。

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似ているようで、差圧検出器は電磁直通制御器と異なるんですね。ますます付図がほしくなりました。