181系気動車(その1) 変速、直結表示灯

最近、国鉄の車両設計事務所がまとめた説明書(構造解説書)が市販されるようになりました。いわゆる教本よりもさらに詳しい内容を知ることができるわけで、大変ありがたいお話です。これに関して、思うことを時たま書くことにいたします。

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181系に関して「変速、直結表示灯はどのように点灯するのだろうか?」と以前から疑問に思っていました。181系の液体変速機は速比に応じて各車両ごとに自動的に変直切換えを行ないます。ただし、車速が同じであっても車輪径の差異によりタービン側回転数はばらつくだろうし、各ノッチに対応した機関回転数だってばらつきます。そうすると変速⇔直結の切換えタイミングは車両ごとに異なってしまうはず…。従来の気動車と同じような回路だと、切換え途中はいずれの表示灯も点灯しないのではないでしょうか?

説明書を読んだら「運転台の変、直、両方の表示灯が同時に点灯することもある。」とのことです。やはり回路構成が違うのです。

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従来形気動車は、全車両の変速機変速側連動接点が引通し線20線で直列接続されています。したがって「すべての変速機が変速側にある時に限り変速表示灯が点灯」(AND条件)となります。

 (先頭車)制御電源→変速表示灯→20線→変速機連動接点→20線
 (次車)20線→変速機連動接点→20線
 (最後尾)20線→変速機連動接点→20線→制御電源接地線

直結表示灯に関しては18線になるだけで、考え方は同じです。

車両起動後の動作順序としては変速、直結なのに、変速表示灯が20線で直結表示灯が18線というところがおもしろいですね。ちなみに19線は中立表示灯です。余談ですが、直結の方が若い番号という点では指令も同じで、変速指令は7線、直結指令は6線です。

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これに対して181系の場合は「いずれかの変速機が変速側にある場合は(充油されて油圧スイッチがオンしたら)変速表示灯が点灯」(OR条件)となっています。引通し線は65線で、すべての変速機のリレー接点が65線と接地線の間で並列になります。

 (先頭車)制御電源→変速表示灯→65線→変速機接点→接地線
 (次車)65線→変速機接点→接地線
 (最後尾)65線→変速機接点→接地線

直結表示灯に関しては引通し線が66線となり、直結クラッチかみ合い完了が直結側接点オンの条件になるだけで、考え方は同じです。

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なるほど…という感じですね。181系に関する疑問がひとつ解けました。