京都府と大阪府の境目の山崎駅とデイリーヤマザキに関するお話

 都と県の境目は都県境と称します。では府と府の境目は府府境かというとそうではなく、府境と称するようです。県と県の境目が県境と称するのと同じことです。

写真1 山崎駅の府境標識

 東海道本線山崎駅京都府大阪府にまたがっており、府境には写真1のようにそれを示す標識があります。「阪大」と記されていますが、大阪大学というわけではありません。右半分は右から読むわけですね。

 

写真2 府境標識の足元拡大

 写真2は写真1の標識の足元です。京都府大阪府が向き合うように記されているわけではなく、京都府側から読めるようになっています。この地における京都府大阪府の力関係を示しているのでしょうか…(追記:左側が駅舎のある方だからということのようですね)

 

写真3 府境標識遠景

 この標識は山崎駅の下り線プラットホームにありますが、境目を淀川の方(写真左奥)にたどると細い川があります。写真3の左端に駐輪場がありますが、ここは京都府です。一方、白い機器室や瓦屋根の家は大阪府です。

 

写真4 府境標識

 写真4は、府境標識の背後に回って撮影したものです。私の左半身は大阪府、右半身は京都府です。私の真下に赤い二点鎖線があるわけで、なんだかもぞもぞします…

 

写真5 府境の風景

 写真5は、府境標識背後から上り線プラットホームとその向こうの風景を見たところです。山崎幼稚園がありますが、左側の窓回りが桃色っぽい建物は大阪府、右側の橙色の屋根の建物とバスは京都府です。ふたつの建物は赤い屋根の通路で結ばれていますが、ここを通ると大阪府京都府を行き来することになります。

 

写真6 山崎駅前のデイリーヤマザキ

 山崎駅前にはデイリーヤマザキがあります。もしかするとここが「ヤマザキ」発祥の地か…と思ったのですが、調べてみたら全然違いました。

 

 まず、デイリーヤマザキ山崎製パンの一部です。では山崎製パンは…ということで同社HPを調べたら本社は千代田区岩本町です。沿革を確認すると本社所在は市川市墨田区千代田区と変わっていますが、工場含めて市川市が発祥の地となっています。つまり関東の会社です。

 では山崎というのは創業者の姓か…というとそうではありません。創業者の姓は飯島です。どういうことかさらに調べると、下記参考文献にたどり着きました。

【参考文献】
𠮷田菊次郎『お菓子を彩る偉人列伝』ビジネス教育出版社,2016

 マツマル製パン(船橋市)で修業した飯島氏は1948年、山崎製パン所(市川市)を開業したのですが…(以下参考文献p.129-130より引用)
『当時の製パン業は、まだ食糧管理制度下にあって厳しく統制されており、別の団体で製パン業に携わっていた飯島藤十郎には、飯島の名では認可は下りなかった。やむなく義弟の「山崎」の名で許可を取り、それを社名とした…』
ということなのだそうです。

 引用箇所に関しては「別団体とはマツマル製パンのことか?」「なぜ製パン業において複数の組織に所属することが認可されないのか?」などの疑問が出てきますが、政府の介入・管理を目的とした食糧管理法が1942年に定められたので、この影響を受けたということなのでしょう。

 要するに、東海道本線山崎駅もしくはその周辺の山崎という地名から山崎製パンと称したわけではないのです。

写真6 山崎駅前のデイリーヤマザキ

 …したがって、写真6(再掲載)は単なるダジャレ状態ということですね。

 

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さかてつでした…