常識はお互い異なるのが常識

 人と人、あるいは組織と組織が情報のやり取り、調整などを行なう際、それぞれが持つ「常識」を基にして進めていくものです。ただし「常識はお互い異なる」という常識を持っていないと、いろいろ問題が生じます。

【餅の形に関するお話】
 私は関東の出身です。正月などに餅を食べる時には金網に乗せて焼いたりします。角がちょっと焦げることがありますが、そこがまたおいしいと思います。
 ところで、関西出身の方に上記の話をしたら「どういうことかよくわからない」と言われました。関西において餅は丸いのが常識だからです。
 ここで申したいのは「餅の形はどちらがよいか」ということではありません。関東と関西で「餅の形に関して常識が異なる」という点です。

【航空界の単位に関するお話】
 世の中においてはSI(国際単位系)を使うのが常識で、質量はkg単位です。ただし、航空界ではアメリカ流にヤードポンド法を使うのが常識で、たとえば燃料はポンド単位です。燃料補給時、それぞれの「常識(≒慣れ)」に影響を受けて換算を間違えるととんでもないことになります。「1ポンド=0.454kg」ですから、ポンド単位だとkg単位の場合の約半分ということになってしまいます。

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 餅の形に関する常識の差異であれば笑い話程度で済むと思いますが、単位に関する常識の差異に起因して誤りが発生すると人命にかかわることがあります。実際、1983年に燃料補給量の誤りによる飛行機不時着(燃料切れ)事故が発生しています。

 技術分野においては日常生活以上に厳密なやり取り、調整が必要となります。「常識はお互い異なる」「相手は私の話を『相手の常識』に基づき受け止めていないか?」という意識を持つことが大切だと思います。

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さかてつでした…