仕様書などの内容は明確に表現しよう

で、どうしたらいいのニャ?

 ものづくりにおいては、「どのようなものを作ってほしいか」「どのように物事をやってほしいか」などを相手に明確に伝達する必要があります。具体的には仕様書、図面などです。これらの文書は物(もちろんソフトウェア含む)を作るに際して拠り所となるものですが、読み手が悩むような内容にすると書き手との「境目」でいろいろな齟齬や誤りが生じ、結果としてものづくりがうまくいきません。どのような表現方法にしたらよいのでしょうか?

 技術的な話だと表現方法以前に技術専門用語に関する説明が必要になってしまうので、ここでは「自転車はどこを走るべきか」という日常的な内容を例にしてみます。
(注記:自転車走行の仕方が論点というわけではありません。道路交通法あるいは道路構造令の内容と完全に合致しているわけでもありませんので、その点ご注意ください。)

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【1】たいへんわかりにくい表現
 13歳未満の人と70歳以上の人以外は「通行可」の標識がある場合をのぞいて歩道を走ってはいけない
 ⇒この表現には「以外」「のぞいて」「いけない」という除外もしくは否定を意味する単語が3つ並んでいます。「で、私はどうしたらいいの?」となります。

【2】多少改善された表現
 下記(1)~(3)によること
 (1)原則として歩道を走ってはいけない

 (2)「通行可」の標識がある場合だけ歩道を走ってもよい 
 (3)13歳未満の人と70歳以上の人は歩道を走ってもよい
 ⇒「原則から例外」という順に記してあります。【1】よりは多少改善されていると思いますが、それでも不明確さを感じます。「たぶん私はこうしたらいいんだよね」という感じです。

【3】かなり明確な表現
 下記の表1によること

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 ⇒こうするとかなり明確になります。「年齢が何歳か」「標識があるか」によって歩道走行の可否が明確に定まります。「よし、私はこうしたらいいんだな」という感じです。

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 さて、それでは上記【3】ならば自転車で走れるところが十分明確になったでしょうか。実はこれだけではまだわからない点があります。歩道走行の可否は明確になりましたが、歩道走行禁止の場合にどこを走ればよいかはっきりしないのです。「歩道以外ならば車道に決まっているだろう」と思われるかもしれませんが、それは「歩道と車道」で構成されている道路の場合のみ成り立つ話です。したがって、道路の構造と種類に関しても明確にしておかないと、自転車がどこを走ってよいかはっきりしないのです。

 だいぶ理屈っぽくなりましたが、仕様書、図面などはここまで表現方法を考えて作成しないとまずいというお話でした。

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さかてつでした…