国立西洋美術館の柱

写真1 リニューアル工事中(2021年12月)

 国立西洋美術館は約1年半ほど工事中でしたが、今年の4月にリニューアルオープンしました。リニューアル後、初めて入館しました。この美術館に入館したことは何回もありますが、今回は展示品ではなく、建物をよく見てみようと思いました。

 館内を歩いているうちに、柱の節に気づきました。

写真2 柱の節

 打ちっぱなしコンクリートの柱に節…木目…つまり、型枠は木材ということです。

 

写真3 柱

 改めて柱をよく見ると、幅の狭い木材を集めて型枠にしていることがわかります。ただ単に木材を集めただけだと多角形になってしまいますが、表面は見事な曲面です。つまり、型枠用木材1本1本の表面を曲面になるよう削ってあるわけです。

 また、継目に段差はありません。表面に木目が残っているわけですから、コンクリート打設後に表面を削ったわけではありません。型枠自体に段差がほとんどない状態にした上で、一発でコンクリートを打ったわけです。

 さらに、コンクリートに打ち継ぎの跡がありません。一気にコンクリートを打ったということのようですが、そうするとコンクリート打設時の圧力に負けることなく、さらに継目段差もない状態を維持できるよう、型枠を裏打ちでしっかり支える必要があるはずです。いったいどのような構造だったのか、気になります。

 それ以上に感動したのがこのコンクリートの表面の美しさです。こんな丁寧に打設されたコンクリート、初めて見ました。職人の技ですね。

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 まあ、こんなことに気づく人は100人に1人もいないようで、たまたま建築専門の学芸員さんが近くにいて声をかけてくださり、ちょっとしたコンクリート談議になってしまいました。ル・コルビュジエ設計ということは有名ですが、作業した人々の技も隠されているということを今回認識した次第です。ちなみに木材は姫子松だそうです。

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さかてつでした…