Wordなどで作成した文書の自筆署名と捺印を電子的に…

 そもそも文書にハンコを押すということ自体、好きではないのですが、なかなか慣習を変えられない組織も存在します。以下、「自筆署名と捺印が必要な文書」に関するお話です。

1.昔の方法

 (1)WordやExcelで文書を作成
 (2)完成した文書を印刷
 (3)自筆署名と捺印
 (4)関係者に紙(コピー)で配布

 関係者が同じ事務所に集まって作業するのが普通だった時代の方法です。事務所には複合機などが設置されているのが当たり前ですから何も問題はありません。(3)項で完成した文書は「紙」です。(1)項においてWordやExcelで作成した電子データは、その「材料」ということになります。

2.ここ数年の方法

 (1)WordやExcelで文書を作成
 (2)完成した文書を印刷(コンビニエンスストアなど)
 (3)自筆署名と捺印
 (4)スキャンしてPDF化(コンビニエンスストアなど)
 (5)関係者にメール送信

 コロナ禍のために自宅で作業をすることが一般的になりました。この場合の対処方法は上記のようになりますが、個人全員が自宅に複合機などを所有しているわけではないため、(2)(4)項は多くの場合コンビニエンスストアで実施することになります。しかしこれは面倒です。また複数の関係者が自筆署名・捺印する場合は(3)~(5)項を繰り返すことになりますから、画質もどんどん劣化していきます。

3.自宅だけで作業する方法

 (1)WordやExcelで文書を作成
 (2)自筆署名と捺印の画像データを貼付
 (3)(必要に応じてPDF化後)関係者にメール送信

 紙に印刷することを一切やめて(2)項を実施すれば、コンビニエンスストアのお世話になることはありません。完成した文書は「WordやExcelのファイル」であり紙ではないので、保管や共有、そして再利用も楽です。もちろん、複数の関係者間でやり取りしても、画質の劣化はありません。

4.自筆署名と捺印の画像データ作成法

 「ところでどうやって自筆署名と捺印の画像データを作成するんだ?」という話ですが、今はいろいろな無料ツールがあって、自宅で実施できます。

写真1 自筆署名

 まず、白い紙に自筆署名して写真撮影します(写真1)。照明の関係で灰色になっていますが、気にする必要はありません。

写真2 トリミング後

図3 しきい値調整後

 次にPhoto Scapeなどの無料ツールを使ってトリミングします(写真2)。さらにしきい値調整(白か黒かの2色にする)を行ないます(図3)。

写真4 紙に捺印

 捺印に関しても同様です。写真4は捺印の代わりに黒いペンで書いてみたものです。こちらは別の照明を用いたため茶色っぽくなっていますが、しきい値調整するので問題ありません。

写真5 トリミング後

図6 しきい値調整

 これもPhoto Scapeなどの無料ツールを使ってトリミングし(写真5)、さらにしきい値調整(白か朱色かの2色にする)すると、図6のようにハンコができました。図3と図6をテキストボックスに貼付ければ、Word上で自筆署名と捺印ができる…と思ったのですが、図7の上段のごとく、自筆署名がハンコの背景(白)に隠れてしまいます。

図7 自筆署名・捺印状態

 解決方法がないか調べてみたら、「ペイント3Dで編集する」という方法がありました。ペイント3Dで「マジック選択」「次へ」「削除」と順次ボタンを押してから、透明にしたいところをクリックして「完了」を押し、ひと呼吸待って画像が浮き出たら、ハサミの印で切取ってからWordに貼付けます。すると、図7の下段にようにハンコ下の自筆署名が見えるようになります。

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 以上、「自筆署名と捺印が必要な文書」に関するお話でした。しかし、「そもそも自筆署名と捺印が必要か?」ということを見直すことの方が重要かなと思います。

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さかてつでした…