銀座線の開業年と萬世橋駅

 手元の資料から、今度は東京メトロ銀座線の開業年をまとめてみました。

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図1 A線B線と開業年と駅番号

 図1のいちばん上は、銀座線の起点である浅草駅です。銀座線は東京地下鉄道が浅草駅から新橋駅まで開業させ、その後新橋駅から渋谷駅までを東京高速鉄道が開業させています。なんとなく「ふたつの地下鉄会社が似たような時期に建設・開業」と思っていたのですが、時期的に完全にずれていたんですね。

 

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図2 萬世橋駅

 上野駅から南は1930年に萬世橋(万世橋)駅まで伸び、その翌年に神田駅まで伸びました。萬世橋駅は神田川の下をくぐる工事が完成するまで期間を要するため、とりあえず設けた仮駅でした。
 図2は、国会図書館デジタルコレクション『東京地下鉄道史 坤』(1934)から引用した萬世橋駅の図です。(著作権保護期間は満了しています。)
 同書によると、当時下記のように運転していたそうです。
 (1)下り線(現在のB線)部分を長さ33.5mの乗降場(プラットホーム)にした
 (2)末広町駅から萬世橋駅の間は上り線(現在のA線)を単線運転により往復
 (3)末広町駅に渡り線を設けた
 (4)浅草駅からの上り列車(A線列車)は交互に末広町行と萬世橋行
 (5)末広町行は渡り線により下り線に入って浅草駅に折返し
 (6)萬世橋行は萬世橋駅まで進入後そのまま上り線を折返し
 (7)萬世橋駅から末広町駅まで上り線を逆行した列車は末広町駅で渡り線により下り線(B線)に入る

 ちなみにプラットホームの長さ33.5mは電車2両分の長さです。

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写真3 萬世橋駅の入口跡

 現在の銀座線に萬世橋駅などありません。なぜなら、神田駅まで伸びた時点で撤去されたからです。使用期間1年間にも満たない、まさに幻のような駅でした。
 ところで、この駅はもともと出入口の階段通路を換気口として使われる設計になっていました。そして現在もその機能を果たしているのです。写真3はその換気口です。もちろん階段通路の開口部すべてがそのまま換気口になっているわけではなく、縮小しているようです。

 ちなみに写真3の場所は秋葉原駅西側の電気店街、奥に見える緑のガーダー橋は総武線です。

 

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ちかてつ
さかてつでした…