筑波鉄道キハ500

 昔、筑波山のふもとに筑波鉄道というローカル私鉄があり、ディーゼル動車がトコトコ走っていました。今回紹介するのはキハ500です。(筑波鉄道は、つくばエクスプレスとは全く別物です。)

 キハ501~505は1959年に日本車輌東京支店で新製されました。このうち、キハ501~502の2両は空気ばね台車を履いていて、キハ503~505は金属ばね台車を履いていました。形式は5両ともキハ500でした。これらの車両を発注したのは常総筑波鉄道です。搬入まもない頃のキハ502(のちのキハ505)の写真を見ると、形式キハ500と記されています。

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表1 車番振替え状況

 ところが外部から、最高設備の車両には最大番号を付すべしという意見があったそうです。この場合の最高設備は「空気ばね台車」です。そこで、新製された年のうちにキハ501~502とキハ504~505の車番を振替えました。車番振替え後のキハ504~505をキハ504形(写真2参照)と変更したのはこの時のようです。

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写真2 車番キハ504の標記

 しかし、何とも場当たり的です。国鉄の場合は形式の定め方に規則がありますが、ローカル私鉄の形式はこんな感じで付されていたわけですね。そこがまたおもしろいのです。

 その後1963年にキハ501~502は常総線へ転出し、1968年にはロングシート化とディーゼル機関換装が実施されました。筑波線に残ったキハ503~505も1976年にディーゼル機関が換装されています。

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写真3 キハ503

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写真4 キハ504とキハ505

 なおこの間、1965年に常総筑波鉄道は鹿島参宮鉄道と合併して関東鉄道になり、1979年には関東鉄道から筑波鉄道鹿島鉄道が分離しました。キハ501~502は関東鉄道常総線で、キハ503~505は筑波鉄道で活躍しました。

…これらの車両が消えてからもう30年ほど経過しています。

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ちかてつ
さかてつでした…