1.はじめに
現在、森アーツセンターギャラリー&スカイギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)で「天空ノ鉄道物語」が開催されています。意外と面白かったので、何回かに分けてご紹介します。
2.段ボール積層構造による造形
段ボール製の蒸気機関車が展示されていることは聞いていたのですが、思っていた以上に凝った造りになっているのに驚きました。
段ボールだから、直方体もしくは円筒の部材を組み合わせてそれっぽく見せているのだろうと思っていたのですが、予想が外れました。バッファ、蒸気ドームなどのように曲面だけで構成されている部品は、段ボールを数多く積層して立体的な造形を実現していたのです。
手摺のようなものであっても角Rを積層構造で表現しており、かなり手間をかけて造っていることがわかります。一見の価値があると思います。
3.各部の構造
こうして全体を見ても、段ボールを用いてどのように構成されているのかわかりません。
端梁(エンドビーム)は段ボール箱そのものという感じです。しかし、連結器のバッファとフックを見て驚きました。よくまあこれだけ貼り重ねたものです。確かにこのような構造にしないと、段ボールで丸みは表現できませんね。
こちらは後方の端梁と連結器です。フックにリンクこそぶら下がっていませんが、よくここまで…という感じです。
シリンダは段ボールによる面構造のようですが、シリンダ後部は段ボール貼り重ね構造です。ピストン棒は管状のボール紙を使用しています。クロスヘッドは貼り重ね構造です。
これだけ大きいので分割構造にしないと運搬もできません。比較的目立たないところ(サイドタンク前方)に継目があり、ガムテープが貼られていました。六角ボルトもよくできています。
バッファは円形に切った段ボールの積層構造でしたが、この蒸気ドーム上半分は放射状に段ボールを並べて表現してあります。
手摺曲げ部は管状のボール紙をL字状に突き合わせてあるだけかと思ったら、こんな凝った構造になっていました。
こちらは手摺上部の曲げ部です。なかなか凝った造りです。さらにサイドタンクには丸頭のリベットがきちんと表現されています。
最後に、鉄道博物館に保存されている150形の写真を掲載します。
4.まとめ
「天空ノ鉄道物語」で展示されている段ボール製の蒸気機関車(150形)は、なかなか凝った造りです。バッファ、蒸気ドームなどのように曲面だけで構成されている部品は、段ボールを数多く積層して立体的な造形を実現しています。手摺であっても角Rを積層構造で表現しており、かなり手間をかけて造っていることがわかります。
以上
ちかてつの
さかてつでした…