1.はじめに
パレスサイドビル(毎日新聞)の前の地下には、東京メトロ東西線の竹橋駅があります。プラットホームに立って柱と柱の間を見るとずいぶん歪みがあることに気づきます。これは、竹橋駅がケーソン工法で建設されたことと関係があります。
2.竹橋駅はケーソン工法で建設された
東西線トンネルのうち、お濠の中を走る区間はケーソン工法で建設されています。
ケーソン工法とは、
①地上であらかじめ角パイプ状の巨大な箱(潜函:ケーソン)を構築しておき、
②この角パイプの切口に蓋をしたまま水中もしくは土中に沈め、
③相互に接続するという方法です。
④角パイプ接続後に切口の蓋を撤去すれば
⑤角パイプどうしがつながって一本のパイプ(トンネル)になります。
東西線竹橋駅は西船橋寄りが大手濠の中になるため、上記のケーソン工法が採用されました。同駅のプラットホーム部は8つの潜函(ケーソン)により構成されています。
8つの潜函がぴったり一直線にそろっていれば歪みはないはずですが、現実には大手濠の中に設置された潜函が不同沈下により傾いているため、接続部に食い違いが生じているというわけです。
3.竹橋駅の状況
竹橋駅には西船橋方面(A線)と中野方面(B線)それぞれ10両分のプラットホームがあります。
これらのプラットホームの間には柱が建っており、1から56の柱番号が付されていますが、「1~7」「8~14」…「50~56」という具合に8つの潜函(ケーソン)になっています。つまり駅プラットホームには7か所の潜函接続部があるわけです。
以下、7か所の接続部がそれぞれどうなっているか示します。なお、いずれも2番線ホーム(中野方面ホーム:B線)で撮影したものです。
潜函「1~7」と潜函「8~14」の接合部位が柱番号7-8間です(写真1および写真2)。上部に若干段差がありますが、下部はきれいにそろっています。
このあたりはパレスサイドビルの前(内堀通の地下)で、「陸の上」です。
柱番号14-15間(写真3および写真4)はきれいにそろっており、歪みは感じられません。
柱番号21-22間(写真5および写真6)も、きれいにそろっています。
「陸の上」はこのあたりまでです。
ところが、柱番号28-29間に関しては、潜函「22~28」よりも潜函「29~35」が高くなっていることがわかります(写真7)。下部もよく見ると勾配があります(写真8)。
トンネルはこのあたりから大手濠の中に入ります。
柱番号35-36間に関しては、潜函「29~35」が下がっています(写真9および写真10)。写真7~8の状況と併せると、潜函「29~35」は2番線ホームから見て時計方向に回転変位していることになります。
この先、柱番号42-43間にも大きな段差があり(写真11および写真12)、潜函「43~49」側が下がっています。
柱番号49-50間を見ると(写真13および写真14)、今度は潜函「43~49」が潜函「50~56」よりも上がっています。写真11~12の状況と併せると、潜函「43~49」は2番線ホームから見て反時計方向に回転変位していることになります。
潜函「29~35」(写真15)と潜函「43~49」(写真16)を2番線ホームで遠くから見ると、かなり変位している(傾いている)ことがわかります。
写真17は、2番線ホームの西船橋寄り通路です。この先は右曲線の潜函(ケーソン)によりトンネルが構築されています。線路と通路はいずれも潜函内であり、壁一枚で隔てられているだけということがわかります。
4.まとめ
東京メトロ竹橋駅ホームで上部を見ると、柱と柱の間が歪んでいる部位があります。これは、竹橋駅がケーソン工法で建設され、さらに大手濠の中に位置する潜函(ケーソン)が不同沈下したためです。
潜函の継目がきれいに一致しておらず、それが歪みとなっているわけです。
以上
ちかてつの
さかてつでした…