陸に上った東西線は毎日新聞前をどのように走っているか

1.はじめに

 「東京メトロ東西線のトンネルはどこにあるか」を連載しています。
 東西線の都心付近、九段下交差点から大手町交差点までは曲線の関係でかなりの距離に渡ってお濠の中を走ることを強いられています。今回は、陸に上ったあとパレスサイドビル(毎日新聞)の前をどのように走っているかという内容です。

2.皇居付近の経路

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写真1 着工前の空中写真(1963年6月)

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写真2 近年の空中写真(2017年8月)

 写真1は東西線建設着工直前の空中写真です。写真2は近年の空中写真に東西線経路を示したものです。青い点線区間は一般的な開削工法で建設されましたが、お濠の中を走る区間(黄色の点線)はケーソン工法で建設されました。
 なお、写真2中のR203という表記は曲線半径を、87~91の数字は換気口のNo.を示しています。

3.陸を走る東西線

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写真3 No.88換気口

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写真4 No.88換気口越しの風景

 首都高速道路が絡み合う竹橋ジャンクションの真下には、東西線トンネルのNo.88換気口があります(写真3)。奥に見えるのは清水濠で、東西線は写真3の左奥から手前に向かって走り、陸に上ります。このあたりは「清水濠まちかど庭園」と称します。
 No.88換気口の下あたりから東西線トンネルは左曲線になり、パレスサイドビルの方に向かっています(写真4)。

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写真5 パレスサイドビル

 上記の通り、清水濠から陸に上った東西線は半径203.3m左曲線で内堀通を突っ切り、毎日新聞が入っているパレスサイドビル(写真5)の前に至ります。半径の数値が半端ですが、それだけ経路選定に際して制約だらけだったのだろうと思います。設計者の苦労がうかがわれます。
 パレスサイドビルは、ふたつの黒っぽく四角い建物に、白い「茶筒」が付属したような構造になっています。ちなみにこの「茶筒」の中にはエレベータが設置されています。

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写真6 パレスサイドビル前歩道

 パレスサイドビル「茶筒」前の歩道脇には駐車場から出てくるクルマの通路も設置されており、ずいぶん広い感じです(写真6)。これは地下に東西線トンネルがあるからで、写真6の奥にあるNo.88換気口から私の足元に向かって東西線電車が走っています。「四角い建物に茶筒を組み合わせ」という基本構造も、東西線トンネルの存在という制約に起因していると考えられます。

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写真7 No.89換気口

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写真8 東西線竹橋駅真上の風景

 パレスサイドビルの「茶筒」前で写真6と反対方向を見ると、No.89換気口があります(写真7)。視点を少し右に移すと内堀通が見えます(写真8)。竹橋駅は内堀通を斜めに突っ切る形で建設されています。内堀通と平行に竹橋駅が設置されているように記載されている地図を多く見かけますが、正しくありません。
 この先、東西線は再びお濠の中に没します。

4.まとめ

 首都高速道路真下のNo.88換気口付近で清水濠から陸に上がった東西線は、左に曲がりながらパレスサイドビル前の内堀通の下に斜めに建設された竹橋駅に至ります。駅の半分はお濠の中です。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】
写真1~2は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データ(MKT636-C7-19、CKT20176-C15-22)を私が編集・加工したものです。