1.はじめに
「東京メトロ東西線のトンネルはどこにあるか」を連載しています。
東西線は落合一丁目交差点付近から戸塚公園入口交差点付近まで、早稲田通の下から外れて民有地の下を走っています。この区間、どの建物の下に東西線トンネルがあるか特定するために実はかなり手間を要しました。
今回は「地下鉄トンネル位置確定の有力な手掛かり」に関するお話です。
2.構築物河底通過標識
今まで落合一丁目交差点付近から神田川付近までのお話をしてきましたが、冒頭に東西線トンネルの位置(写真2および写真3の青い点線)を示しているので、「まず初めに東西線トンネルの位置が確定していて、それに基づいてトンネル真上にある建物の写真を順次紹介しているだけ」と思っていらっしゃるかもしれません。
しかし現実は逆です。建設史でトンネル位置をある程度見当つけてから現地調査と共に写真を撮影します。その後、建設史と現地状況写真を基に考察し、トンネル位置が確定します。結果としてトンネル真上の写真だけが採用されているに過ぎません。
例えば写真4を撮影した時も、どこに東西線トンネルがあるのかよくわかりませんでした。のちに写真4の右手前から左奥に向かって東西線が走っているとわかったため、本記事に使用したわけです。
このあたりで最初に東西線トンネル位置が確定したのは、神田川です。護岸に構築物河底通過標識があり(写真5の黄↓印)、これによりトンネル中心位置が明確になりました。そのあとは建設史によりこの付近のトンネルが直線であることとその方角を確かめ、東京メトロ施設内の建物位置と方角、さらに換気口No.23位置などから、順次東西線トンネルの位置を確定していきました。その結果が写真2および写真3に記された青い点線です。
ちなみに構築物河底通過標識は神田川の対岸にもあります(写真6の黄↑印)。これにより、建物⑯は東西線トンネルの真上ということが明確にわかります。
建物⑯の隣には建物⑮(写真7)が建っており、一部は東西線トンネルの真上になります。構築物河底通過標識があることによりこのようなことがはっきりわかりますが、もし標識がなかったら、建物⑮北側(写真7左手前)の空地が東西線トンネルの真上であると誤って判断してしまうかもしれません。
3.まとめ
川の護岸に設置されている構築物河底通過標識は、地下鉄トンネル位置を特定する有力な手掛かりです。この標識がなかったら、このあたりの東西線トンネル位置特定はさらに難航したものと思われます。構築物河底通過標識は、地下鉄トンネル位置確定の有力な手掛かりです。
以上
ちかてつの
さかてつでした…
【注記】
写真1~3は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データ(KT657Y-C3-14、CKT20176-C21-18)を私が編集・加工したものです。