現地状況は素直に受け入れないといけない…というお話

1.はじめに

f:id:me38a:20191211210950j:plain

写真1 工事中の空中写真(1965年8月)

 「東京メトロ東西線のトンネルはどこにあるか」を連載しています。
 今回は、「地下鉄は道路の下を走ることが多い」という一般論にとらわれて現地状況を素直に受け入れられず、結果として手間取ってしまった…というお話です。

f:id:me38a:20191211211007j:plain

写真2 近年の空中写真(2017年8月)

f:id:me38a:20191211211021j:plain

写真3 民有地走行区間(写真2の拡大)

2.東西線トンネルはどこにあるのか…

f:id:me38a:20191211212050j:plain

写真4 建物⑤’と建物⑧の間の空間

 記事を書いている今でこそ「写真2および写真3に記された青線のごとく東西線が走っている」と言えますが、初めてこのあたりの現地状況を見た時は、「建物⑤’と建物⑧の間の空間(写真4)こそ東西線トンネルの真上だろう」と思ってしまったものです。「道路下を走らせるほうが用地買収も不要で経済的だから」という先入観にとらわれたのです。こうなってしまうと、現地の状況を素直に受け入れることができなくなります。その結果、このあたりにおける東西線トンネル位置特定にかなり時間を要してしまいました。

f:id:me38a:20191211212335j:plain

写真5 建物⑤'

 早稲田通からよく見える建物⑤のふもとには、4階床しかない建物⑤'が付属しています。ところが写真4の空間こそ東西線トンネル真上だと思い込んでしまったため、建物⑤'の存在になかなか気づきませんでした。
 建物⑤'が4階床しかない理由は申すまでもありません。この真下に東西線トンネルがあるためです。階床制限によりトンネルに対する荷重を抑制しているわけです。

f:id:me38a:20191211212456j:plain

写真6 建物⑦

 建物⑦(写真6)も、その特徴ある形状により東西線トンネルの位置を示しているのですが、やはり写真4の空間に気を取られ、建物⑦の形状を当初見落としていました。
 建物⑦の1階は道路に並行ですが、2階と3階は何物かを逃げるかのように道路から引っ込み、さらに斜めになっています。「何物か」とは…そうです、東西線のトンネルです。

f:id:me38a:20191214094314j:plain

写真7 東西線トンネル真上の風景

 上記の場所を東側から見ると(写真7)、東西線の経路がよくわかります。建物⑤の脇には非常階段が取付けられています。この非常階段と建物⑤'は東西線トンネルの真上になります。建物⑥も道路側がトンネル真上になります。さらに手前の建物⑦の特徴的な形状が東西線トンネル位置を示しています。
 建物⑧脇の空間がトンネル真上…というわけではありませんでした。

3.まとめ

 地下鉄トンネル付近に道路があるからと言って、「その下を走っているに違いない」と思い込むと、判断を誤ります。現地の状況を見ながら素直に、冷静に、調査を進めないといけないな…と思った次第です。

f:id:me38a:20191022195213j:plain以上
ちかてつ
さかてつでした…

【注記】
写真1~3は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードした写真データ(KT657Y-C3-14、CKT20176-C21-18)を私が編集・加工したものです。