佃大橋西側の換気塔No.122

隅田川にかかる佃大橋ですが、有楽町線はこの橋の真下を走っていません。このことは国土地理院の地図、民間の地図、ネット地図、いずれを見てもわかります。今回は、この佃大橋の西側に関してです。


1.文献確認

建設史P.432先の平面図及び縦断面図によると、有楽町線A線の電車は隅田川の西側で半径353m右曲線となって都道から外れ、佃大橋の下流隅田川を渡ります。隅田川を渡り終える少し手前から半径503m左曲線となり、その後半径500m右曲線で再び都道の下に戻り、月島駅に至ります。

このような走り方をする理由は佃大橋の基礎を避けるためで、建設史P.686~689にかけて当該区間の工事に関する記述があります。


2.現地の状況

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写真1 ニチレイ明石町ビルの前

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写真2 ニチレイ明石町ビルの前

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写真3 有楽町線の上の公園

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写真4 換気塔No.122

写真1は、ニチレイ明石ビルの前で佃大橋を撮影したものです。有楽町線A線は奥から手前に向かって半径353m右曲線で曲がりながら走って来ます。同一地点で反対側を向いて撮影したものが写真2です。写真2の場所から少し隅田川寄りに進んだところは公園(写真3参照)になっており、この下を有楽町線は走っています。奥の佃大橋の下に何やら薄茶色のものが見えますが、これは建設史P.432先の平面図及び縦断面図に掲載されている換気塔No.122(写真4参照)です。建設史P.687図170隅田川工区線路平面図によると、公園(写真3参照)の下から換気塔No.122(写真4参照)まで明石町換気室が続いていることがわかります。公園の下は空洞なのですね。

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写真5 隅田川

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写真6 隅田川護岸

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写真7 埋設物表示板

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写真8 佃大橋と隅田川

換気塔No.122のすぐ近くを隅田川(写真5参照)が流れています。有楽町線A線は私の足元から対岸へ向かって走っています。隅田川の護岸を見ると何やら貼り付けてあります(写真6左側参照)。近くで見ると埋設物表示板(写真7参照)です。地下鉄8号線(有楽町線)のトンネルが9.8m幅で存在していることが記されています。建設史P.686には外径9.8mの複線シールドトンネルである旨記載されており、符合します。まさにこの真下を有楽町線が走っているわけです。写真8は佃大橋を渡って月島側から明石町側を見たところですが、Nと赤文字で記されたニチレイ明石町ビルの足元と佃大橋の間を、私の方に向かって有楽町線が走っています。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」帝都高速度交通営団(平成8年)