有楽町線は永田町一丁目のどこを走っているか

永田町駅を出た有楽町線の電車は桜田門駅に向かいます。この間のほとんどが永田町一丁目です。では有楽町線の真上には何があるのでしょうか。今回は永田町駅から国会前庭洋式庭園までです。


1.文献確認

建設史P.432先の平面図及び縦断面図によると、有楽町線永田町駅は半径510m左曲線になっています。駅を出ると曲線は308mにきつくなって国会図書館前交差点を通過し、その先から今度は半径408m右曲線で国会前庭洋式庭園に至っています。永田町駅から桜田門駅までは単線シールドトンネルが2本並行しています。

建設史P.452図17永田町駅およびP.652図125永田町一工区位置平面図を見ると、有楽町線永田町駅は中央付近で自民党本部の敷地に少し食い込んでおり、さらに東側で衆議院議員会館の敷地にわずかに食い込んでいます。


2.現地の状況

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写真1 自民党本部前

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写真2 国会図書館前交差点

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写真3 国会議事堂北門前

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写真4 国会議事堂北門

永田町駅があるところは自民党本部の前(写真1参照)です。いつも機動隊のバスが停まっており、警備の厳しい場所です。この真下に駅があるというのも不思議な感じです。有楽町線のA線は奥から手前に向かって走っています。

永田町駅のいちばん東にある2番出口から出ると、国会図書館前交差点(写真2参照)に出ます。同写真に写っている建物は衆議院分館ですが、有楽町線はこの建物のすぐ脇を右手前から左奥に向かって走っています。建設史記載の永田町駅東端位置から推測すると、国会図書館前交差点からすでに有楽町線は国会議事堂の敷地内に食い込んでいるものと思われます。国会議事堂北門前付近(写真3参照)においても、有楽町線は国会議事堂の敷地内に入り込んでいます。有楽町線A線は柵の向こう(写真4参照)を右から左に走っているわけです。

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写真5 No.117~118換気口

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写真6 No.117換気口

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写真7 No.118換気口

国会議事堂の敷地の北東角は憲政記念館前交差点になっており、敷地が大きく面取りされています。この面取りされた所にあるのがNo.117換気口とNo.118換気口(写真5参照)です。この真下には換気室およびその立坑がある旨、建設史には記載されています。有楽町線はA線B線別々の単線シールドトンネルですが、2つの換気口は2本の単線シールドトンネル共通の換気室・立坑に接続されていると考えるのが自然だと思います。

No.117換気口(写真6参照)にはなぜか警視庁の赤いコーンが置かれています。同写真の左は国会議事堂の敷地です。有楽町線A線は、左奥から右手前に斜めに走っています。

隣りのNo.118換気口(写真7参照)脇には、散歩モデルコースが記載された東京都の案内標があります。警視庁のコーンと対照的で、おもしろく感じました。有楽町線A線は、写真7の手前から奥に向かって走っています。そして、同写真奥の国会前庭洋式庭園(樹木が茂っているところ)に至っています。庭園の左隣りは憲政記念館です。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」帝都高速度交通営団(平成8年)