アクロポリス東京の下を走る有楽町線

神田川は大曲でその名の通り大きく曲がります。神田川にぴったり並行している目白通りも大きく曲がります。それでは目白通りの下を走っている有楽町線も同様に曲がっているかというとそうではありません。やはりこの曲線半径では無理があるようで、一部の区間では目白通りの下から外れて民有地の下に入り込んでいます。


1.文献確認

建設史P.432先の平面図及び縦断面図によると、大曲付近において有楽町線は半径270m右曲線で朝倉書店ビルの下を通過しています。また、朝倉書店ビルのすぐ近くには換気塔がある旨記載されています。

P.628~630には朝倉ビル下受工事に関して記載があります。在来のφ1400基礎の代わりにφ2000新設深礎と2000×2200の受梁でビルの荷重を支えるように工事したとのことです。

ところで地図等でこの場所を調べるとアクロポリス東京というビルが建っており、朝倉書店が入っています。さらに「アクロポリス東京」という名称で検索してみると、テイクオフィス(ビル賃貸会社)のHPで公開されている同ビル紹介資料が出てきました。その資料の中の断面図を見ると…地下2階に変電所電気室があり、その真下に「地下鉄軌道」という記述があります。有楽町線です。また1階平面図を見ると大曲交番の脇に「換気スペース」という記述があります。建設史に記載されている換気塔と思われます。

建設史に記載されている朝倉書店ビルはアクロポリス東京に建て替えられたようです。テイクオフィス社のアクロポリス東京紹介資料によると、竣工は1期1994年、2期1997年とのことです。


2.現地の状況

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写真1 遠景(北面)

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写真2 北側公開空地

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写真3 公開空地表示板下部

A線の方向(和光市駅新木場駅の方向)に目白通りを歩いてみました。写真1は有楽町線目白通りの下から外れてアクロポリス東京(奥の黒っぽい建物)に向かっていくところです。写真2はアクロポリス東京の北側(目白通り側)公開空地です。ここに表示板(写真3参照)があり、下の方を見ると朝倉書店と東京メトロが共同で建築したことが記されています。建物の真下を地下鉄が走っている特殊な状況を物語っています。 

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写真4 換気塔

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写真5 南面

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写真6 隣接ビル(北面)

アクロポリス東京の北面には換気塔(写真4参照)があります。地下に駐車場が設けられている場合はその換気塔という可能性もありますが、テイクオフィスHP公開の同ビル紹介記事によると駐車場は地上のみで、地下にはありません。したがって、この大きな換気塔は有楽町線のものと考えられます。

写真5はアクロポリス東京の南面、写真6は同一地点から見た隣接ビルです。これらの建物の下を有楽町線が大きく曲がりながら走っています。


参考資料
 1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道有楽町線建設史」帝都高速度交通営団(平成8年)
 2.テイクオフィスHP