前々回、平河町交差点で換気塔の話が出てきましたが、今回は隼町の換気塔の話です。
建設史P.400先の線路平面図及び縦断面図には隼町中間立坑東側に□の記号があり、「換気塔⑧」と記載されています。
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建設史に記された場所へ行ってみると、それらしいものが見つかりました。首都高右側(東側)に見える構造物(赤→印)です。
半蔵門通りを渡って近づいてみると換気塔がよくわかります。右手前は最高裁判所、奥は国立劇場です。
隼町中間立坑(もちろん見えません)の上を通って北西側(高架と半地下の首都高の間)から撮影した換気塔です。
写真3と同一地点から撮影した写真です。首都高の高架の下には半地下の首都高が走っていますが、換気塔の下部が開口しているわけではありません。換気塔は首都高のものではないと考えられます。
首都高の反対側(東側)に出て、北側から撮影した換気塔です。Yahoo!地図、Googleマップの航空写真で確認すると、上部に開口部を確認できます。
写真5の位置から少し国立劇場側へ移動して撮影しました。不思議なのは、この施設に所有者の明示がないことです。可能性として下記(1)~(3)が考えられますが、いずれの名称も明示されていません。
(1)東京地下鉄の所有で、半蔵門線隼町中間立坑の換気塔 →可能性大
(2)最高裁判所地下駐車場の換気塔 →敷地外ゆえ可能性小
(3)首都高の換気塔 →構造的に可能性小
隼町中間立坑は首都高の西側ですから、首都高の下を交差するように換気口が横に伸び、鉛直方向に立っている換気塔に接続されているということになりそうです。建設史記載の「換気塔⑧」であることはほぼ間違いないと思いますが、いまひとつはっきりしません。
その後参考資料2を読んでいたところ、P.180に「立坑は駅間のほぼ中間で、トンネル換気のために換気室として使用される。接続される換気塔は高速道路の地下部分の下を通って最高裁判所の裏に設けた。」と記載された工事パンフレットの写真が掲載されていました。上記(1)で正解でした。
半蔵門線は隼町中間立坑から先、半蔵門通りを複線シールドトンネルで進み半蔵門駅に至ります。この先、一番町交差点付近にあるのが写真7の換気塔(建設史P.400先の線路平面図及び縦断面図に記された「換気塔⑨」)です。
この換気塔は東京地下鉄の管理である旨、明示されています。写真1~6の換気塔にもこのようなものがあれば悩まなくて済むのですが…。
参考資料
1.帝都高速度交通営団編「東京地下鉄道半蔵門線建設史(渋谷~水天宮前)」帝都高速度交通営団(平成11年)
2.東京地下鉄編「東京メトロ建設と開業の歴史」実業之日本社(2014年)