半蔵門通りはいつの間にやら大妻通りと名前を変え、靖国神社南門交差点で靖国通りにぶつかります。半蔵門線は大妻通りから靖国通りの下にもぐり込むのですが、曲線を描いているため靖国神社南門交差点は通過しません。それではどこを走っているか…ということを建設史で調べてみました。トンネルの位置が特定できるのは下記ページに記載されている図です。
P.400先の線路平面図及び縦断面図:
半蔵門駅方面からのトンネルは「九段南三丁目、九段南二丁目、三番町の三重点」付近から半径346m右曲線で曲がり始め、途中から半径370m右曲線になり、トヨタ九段ビルをかすめて靖国通りの下にもぐり込んでいることがわかります。
P.484図80 都営新宿線変位測定位置平面図:
トヨタ九段ビルから先は、都営新宿線のトンネルとほぼぴったり並行して九段下駅に至ることがわかります。
P.485図81 シールド掘進停止時地盤改良図:
住民反対によりトヨタ九段ビルの西側(ペトリカメラ東京センター跡地:現在のZENビルディング)で複線シールドを停止していたことが記載されており、ZENビルディングの真下に半蔵門線シールドトンネルがあることがわかります。
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私が建っているのは大妻通りですが、この先の信号のある交差点付近から半径346m曲線で右に曲がり始めます。
左は九段さくら館ですが、妙な空き地があります。ちょうどここは半蔵門線のトンネルが大妻通りを外れるあたりです。敷地いっぱいに建てようとすると基礎が面倒な構造になるため、なかなかビルが建てられないのだろうと思います。
写真2の空地の隣にあるのが九段さくら館です。住宅、集会室、防災備蓄倉庫などの千代田区複合施設で、平成7年(1995年)竣工です。工事記録等は探しきれませんでしたが、半蔵門線はこの真下を通っているようです。ちなみにこの区間(すなわち半蔵門駅から先)の開業は平成元年(1989年)1月26日です。
半蔵門線は右から左奥に向かって走っています。古い建物が残っていますが、地図と対比してみるとこの真下を半蔵門線が走っているようです。
この建物に関して調べてみたところ、参考資料2が公開されていました。資料には、写真手前に写っている低層棟(地上7階、地下なし)が半蔵門線の真上に建設されている旨記されています。半蔵門線シールドトンネルに荷重をかけないため、トンネル外方1mのところに支持杭を打設し、その上に厚さ4mの杭頭盤(人工地盤)を造成して建物の基礎を載せているとのことです。半蔵門線が走っている向きは右(南西)から左奥(北東)で、右に見える古い建物も半蔵門線の真上になります。
写真奥にはパレステュディオ九段北の丸の高層棟(地上10階、地下1階)が見えますが、この建物は基礎が半蔵門線シールドトンネルと干渉しない位置に建設されています。
この真下を地下鉄が走っているようには見えませんが、右手前から奥に向かって半径370mの曲線で走っています。
写真6の場所を東の方から撮影したものですが、この写真だけを見ても真下に半蔵門線のトンネルがあることなど、全くわかりません。
写真7の場所からさらに東へ行ったところですが、これまた地下鉄が真下を走っているようには見えません。実は右側の建物の真下を串刺しにしているのですが…。
半蔵門線は、左に見える建物(ZENビルディング)の真下を突き抜け、奥(トヨタ九段ビル)に向かって走っています。
この建物の真下を、奥から手前に向かって半蔵門線は走っています。この場所が、複線シールドマシンを休眠させていた場所ですね。
半蔵門線はトヨタ九段ビルの一部をかすめるようにして靖国通りの下にもぐり込みます。この写真を撮っている私は、半蔵門線の真上にいることになります。
今回の区間は、資料がないと半蔵門線がどこを走っているか全くわからないなと感じました。
参考資料
1.「東京地下鉄道半蔵門線建設史(渋谷~水天宮前)」帝都高速度交通営団(平成11年)
2.真壁ら「地下鉄の上にマンションを建設」川田技報Vol.23 P.100~101(2004)