サハ3000形(16号車と17号車)はモハ5114+クハ5215と同年に新造された車両です。外観的にクハ5215の運転台を客室に置き換えたような感じです。細かいこと申せば、中央の側扉はいずれも北側(飯坂温泉寄り)に開きますので、モハ5114の車体をベースにしていることになります。
サハ3000形は2両ともモハ1200形に挟まれて使われていました。外観的には12号車以降の車両と同系列ですが、回路的には後述の通り別物でした。貫通扉は不要だったはずですが、将来の転用も見越していたものと思われます。
地方中小私鉄らしい好ましいデザインです。
こちら側の妻面には配電盤があったようで、貫通路の東側妻面には窓がありません。
こちら側の床下には、戸閉抵抗器、可溶器、接地開閉器などが艤装されています。戸閉抵抗器は電動発電機を使っているデハ5012+5013、モハ5114+クハ5215にはないもので、電動発電機がない編成(モハ1200形とそれにつながる車両)に特有のものです。車体や台車はモハ5114+クハ5215と同系列ですが、回路的にはジャンパ連結器含めてモハ1200形と同等にしてあることがわかります。
戸閉抵抗器の左側にも同様のものがありますが、詳細不明です。
こちら側の妻面は、貫通路の東西両側に窓があります。
こちら側の床下には、制御空気溜、供給空気溜、中継弁、M制御弁、補助空気溜、付加空気溜などが艤装されています。
サハ3000形は結局転用されることもなく、1991年(平成3年)の昇圧と共に廃車になりました。
参考資料
1.「日本民営鉄道車両形式図集(上編)」鉄道図書刊行会(昭和51年)
2.松原淳「福島交通」「鉄道ピクトリアル1987年3月臨時増刊号」P.152~155 鉄道図書刊行会(昭和62年)