今回は放送用ジャンパ連結器に関して、鉄道博物館保存のキハ11 25をネタに書きます。
写真2は、写真1の右下を拡大したものです。ジャンパ栓受が3つあり、下記のような用途となっています。いずれもすべての芯を使用しており、空きはありません。
制御:KE53(15芯) 前,後,直,変,ノッチ,戸,戸表示,接地
補助:KE53(15芯) 予熱,始動,油圧,表示(前,後,直,中,変),同期,ブザ,電灯,電源
放送:KE66(2芯) 放送・電話
写真5は、写真4の左下を拡大したものです。未接続の放送用ジャンパ栓を納めるところです。
KE66の栓部が見えます。2芯であることがよくわかります。
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ところで参考資料2を見ていて気付いたのですが、1950年代の一般用気動車(キハ17系、キハ20系)には放送用ジャンパ連結器がありません。準急用気動車(キハ55系)には放送用ジャンパ連結器が最初から取付けられていたようですが、一般用気動車に放送装置が取付けられるようになったのは1960年頃からのようです。
参考資料3(1970年代の写真)においてはキハ17系も放送用ジャンパ連結器が取付けられていますから、追加改造工事を実施したのでしょう。
…ということは、1950年代の一般用気動車における車内放送は「車掌の肉声」ということになります。どのような感じだったのか私にはわかりませんが…。
参考資料
1.最新絵ときディーゼル動車(昭和55年第9版)
2.鉄道ピクトリアル アーカイブズセレクション13 国鉄の気動車1950
3.国鉄気動車ガイドブック(昭和47年第1版)