不忍通りは、千駄木二丁目交差点(千駄木駅と根津駅の中間付近)で「く」の字に曲がります。市販の地図、ネットの地図などでは道路の屈曲通りに千代田線が走っていることになっていますが、これは不自然です。
いつものように千代田線建設史P.436先の平面図・縦断面図で確認してみると、半径203m左曲線と記載されています。地図上に円弧を描いてみると民有地に食い込むことがわかりました。
ところで建設史を丹念に読むと、P.482に「曲線部の地下使用について交渉したが、近い将来道路が拡幅される際に再度立ち退くのはわずらわしいから買い取ってほしいと言われ、換気塔用地として買収した」という内容が記されています。Yahoo!地図の航空写真を見ると、換気塔のようなものが写っていると共に「く」の字だった交差点が滑らか(円弧状)になっていることにも気付きました。
実際にどうなっているのか、現地へ行ってみました。
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久しぶりにこのあたりを歩いたのですが、不忍通りは千代田線の曲線に沿った形に拡幅されていました。写真2は右側(曲線の外側)が広くなっていますが、こちらが昔からの直線経路です。
そして、お目当ての換気塔はこんな感じです。交差点付近の道路を拡げて現状になっているにもかかわらず、換気塔はまだこれだけ奥にあります。拡幅前は、民家が密集する中ににょきっと換気塔が立っていたということなのでしょう。不忍通りから見えるようになった現在でも、不思議な雰囲気があります。
参考資料
1.東京地下鉄道千代田線建設史(昭和58年)