今回は千代田線の青山墓地-根津美術館前交差点付近の経路に関してです。
この区間をYahoo!地図、Mapion、Googleマップ等で見ると都道413号線の真下を走っていることになっています。しかし、根津美術館前交差点は曲線が急すぎて不自然です。この交差点で千代田線が民有地の下に少し入り込んで大きな曲線で曲がっているとすると、今度は立山墓地(青山墓地の西)前の曲線と合わせてS字曲線になってしまい、これも不自然です(千代田線の電車に乗っていてここまで曲がっている感じはしません)。
そこで「その1」と同様に千代田線建設史参照と現地状況確認をしました。なお便宜上、建設史、現地いずれもA線の方向(綾瀬→代々木上原)に進むことにします。
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これはメトロ表参道駅の地図です。都道413号線の真下を走っていることになっています。一方建設史ですが、P.600に平面図として図117が掲載されています。
千代田線は、青山墓地(写真1の左下端)の中ですでに半径500m左曲線で曲がり終わっており、あとは一直線に青山橋をかすめ、笄(こうがい)児童遊園と立山墓地の下を貫き、都道413号線と斜めに交差しています。そして根津美術館前交差点から離れたところを半径203mの右曲線で曲がっています。
写真2と3は都道413号線の青山橋で、同一地点で撮影したものです。千代田線は写真3右端あたりから写真2の手前(私のまさに目の前)を走っています。橋脚と千代田線の位置関係は建設史P.596図111に示されています。なお、図111は南北が逆(写真2および3と左右が逆)ですのでご注意ください。
奥に見えるのは都道413号線の青山橋ですが、千代田線は墓地入口のすぐ向うを左右方向に走っています。このあたりから立山墓地の下を長さ165.6mの南青山複線シールドトンネル(セグメント外径Φ9.8m)で突き抜けます。
この写真を撮影した私の真下を千代田線が左右方向に走っています。奥に見えるのは都道413号線ですが、結構離れたところを走っていることがわかります。また、都道413号線は東(写真右側)から南西(写真左側)にかけて曲がっていますが、千代田線は一直線です。
少し都道413号線に近づいて撮影したところです。千代田線はこの写真の左側を奥に向かって走っています。
立山墓地から都道413号線に出てきたところです。この真下を千代田線が奥から手前に向かって走っています。シールドトンネルなので、知らないとどこを走っているかまずわかりません。
写真7の反対方向を見たところです。ここだけ歩道が斜めに広がっています。最初現地でこの斜め広がりを発見した時は千代田線が関係しているかと思ったのですが、30mほど先(都道413号線の中央線近く)までは南青山シールドトンネルですから、たまたまということのようです。
このあたりからは開削工法になり、半径203mの右曲線で曲がっていきます。右側の建物の真下を右手前から奥に向かって斜めに突っ切っていますが、建物の形状が建設史P.600図117に記載されたものと全く形が異なりますし年代的にも千代田線より新しそうなので、基礎そのものが千代田線をまたぐよう建設(新築)されたのだろうと思います。
千代田線はぐいぐい右に曲がっていきます。写真10の奥に茶色の集合住宅がありますが、この真下を千代田線は走っています。これも建設史P.600図117記載の建物と全く形が異なってり、千代田線をまたぐように建設されたものと判断されます。基礎工事はめんどうだったことでしょう。この集合住宅が周囲の道路に対して斜めに建設されているのは、千代田線が真下を走っているためと推定されます。
地図(写真1等)ではこの交差点の真下を走っていることになっていますが、かなり違いますね。現実には写真右奥の緑色の建物の真下を右から左へ斜めに突っ切り、写真左端に見える茶色の集合住宅の真下に至っています。
写真右側に見える茶色の集合住宅の真下から左手前方向に千代田線は半径203mで曲がりながら走っています。
この足もとを千代田線が走っています。青南小の校庭の隅は千代田線の真上になるわけですね。
青南小の前には千代田線の換気口があります。このあたりで半径203mの曲線は終わり、表参道駅までまっすぐ都道413号線の下を走ります。
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今回の区間も長年疑問に思っていたところですが、建設史のおかけで経路がはっきりしました。
参考資料
1.東京地下鉄道千代田線建設史(昭和58年)