A制御弁

目立たないけど、いないと物事が回らない…そんな人って身の周りにいませんか? 旧型客車などのブレーキ(自動空気ブレーキ)に関してまさにこんな感じの装置があります。A制御弁です。

この自動空気ブレーキで目立つものというと空気溜め(エアータンク)とブレーキシリンダでしょうか。ところがこれらは、たいして巧妙な仕組みではありません。空気溜めなんて図体は大きいけど中身はからっぽです。

 

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実はいちばん重要な働きをしているのがA制御弁です。どんな形・大きさかは、写真をご覧ください。

機関車からブレーキ管に5kgf/cm2(現在では490kPaと言わなくちゃいけません)の空気を供給すると、A制御弁はこの空気を補助空気溜めに蓄えると同時にブレーキシリンダの空気を抜きます。そうするとブレーキが緩みます。

機関車の運転台でブレーキ管の圧力を下げると、その減圧量に応じて補助空気溜めに蓄えてあった空気がブレーキシリンダに流れ込み、ブレーキがかかります。もちろん、連結器が外れて列車分離が発生しても自動的にブレーキがかかります。自動空気ブレーキという名称の所以です。

A制御弁が考案されて実用化したのは1928年。客車のみならず、電車、気動車などに広く使われていました。現在でもこれを搭載した車両は走っています。