飛行機着陸時の降下角度は何‰か

写真1 成田空港34L着陸直前の機内から

 着陸する飛行機は多くの場合ILS(Instrument Landing System:計器着陸装置)により、左右に関しては滑走路の中心線に一致させ、上下に関しては水平面に対して約3°のグライドパスに一致させて降下してきます。

 では、この約3°という角度はいったい何‰(パーミル)の勾配なんだろう…と思ってしまう点が鉄道好きの困ったところです(航空界で‰表記なんて見たことありません)。まあ、電卓でtan3°を計算して1000をかければすぐわかる話ですが、暗算できないだろうかと思ったのです。

 角度θ(rad単位)が小さいとき、θ≒tanθ≒sinθとなることはよく知られています。そもそもrad(ラジアン)という単位そのものが扇形の半径と円弧の長さの比で定義されているわけですから、当たり前の話です。1周ぐるり360°をrad単位であらわすと、半径rに対する円弧長さが2πrなので2πr÷r=2π[rad]となります。1radは360°÷2πすなわち約57°と暗算できます。したがって3°は約1/19radであり、傾きは約1/19ということです。1000をかければ50‰強ということですね。

 電卓で細かく計算したら52.4‰でした。ちなみに50‰というと、南海電鉄神戸電鉄の最急勾配ということになります。なるほどー、と思いました。

 

 今回は「飛行機着陸時の降下勾配は約50‰」「物事はなるべく数値で把握しよう」「電卓に頼らず概略値を暗算できるようにしよう」というお話でした。

 

【注記】写真1の「34L」は滑走路の名前です。「磁方位約340°方向の左側の滑走路」を意味します。

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さかてつでした…