港区と江東区の境目

 「港区と江東区の境目」と記すと、「港区と江東区の間には中央区があるので直接は接していないはずだ」と思われるかもしれません。しかし、港区と江東区はお互いに接しているのです…東京湾埋立地の上で…

写真1 臨海副都心(2019年撮影)

写真2 同地点(1979年撮影)

【注記】本書掲載の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」の写真データを著者が編集・加工したものです。

 写真1は臨海副都心ダイバーシティ東京付近です。斜めに走っている太い道路が、湾岸道路と首都高速湾岸線です。そして、この道路の中央が港区と江東区の境目になっています。

 写真2は同じ範囲の約40年前です。埋立地は新たにできた土地ですから、当然のごとく「領地争い」が起こります。そのため当時は所属する区が定まっていませんでした。道路は一部しか完成していないし、建物もないし、区境すらなかったわけです。

 さて、1980年代に入るとめでたく区境が完成しました。それでは区境を示すものが何かないだろうか…ということで、現地調査しました。この区境と直交する橋は4本ありますが、今回はそのうち3本(いずれも歩行者専用)に関してです。

写真3 テレポートブリッジ中央部

写真4 テレポートブリッジ中央部より

 まず、写真1の北東にあるテレポートブリッジに関してです。りんかい線東京テレポート駅の脇にある橋ですが、中央部は写真3のような状態で、区境の標識などはありません。下を見下ろすと写真4のごとく中央分離帯(区界)の真上にいることが確認できますが、窓ガラスに区境の線が記されているわけでもありません。

写真5 テレポートブリッジ

 写真5はテレポートブリッジの下面です。手前が港区、奥が江東区ですが、やはり何の標記もありませんでした。

 

写真6 青海・台場クロスウォーク

 写真6は2本目の橋、青海・台場クロスウォークです。左奥に見えるのはダイバーシティ東京です。

 

写真7 青海・台場クロスウォーク中央部

写真8 区境の標識!

 青海・台場クロスウォークは歩行者専用の橋で、隅田川の桜橋のようにX字形です。写真7はその中央部ですが、路面に何やら埋込まれています。近くで見た状態が写真8ですが、区境の標識です! 見つけました。港区と江東区の境目です。美しい風景です。

写真9 青海・台場クロスウォーク(2019年撮影)

 ところで写真7を見ると、区境の標識は橋の中心から少しずれています。激しい領地争いがあったはずなのにこんないい加減でよいのだろうか…と疑問に思いつつ、写真1中の青海・台場クロスウォークを拡大して124°右回転させてみました。写真9にその状態を示しますが…なんと左右非対称なんですね。改めて区境の標識(写真8)を見ると、ちゃんと非対称に記されています。なるほど、区境の標識がずれているのはこういうことだったわけです。

 

写真10 ウェストパークブリッジ

写真11 ウェストパークブリッジ中央部

 さて、3本目の橋はウェストパークブリッジです。まず下から見ましたが、写真10のごとく何の標記もありません。それでは路面はどうなのだろうか…ということで区境の真上に立ってみたのですが、写真11のごとく何も標記されていませんでした。

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さかてつでした…