南海電鉄の車両限界が小さかったことがわかる、関東鉄道キハ755形の車体

写真1 南海電鉄キハ5501形改造の関東鉄道キハ755形

写真2 国鉄キハ55形改造のキニ56形

 国鉄キハ55形を基に設計されたのが南海電鉄キハ5501形で、そのうちの1両が改造されて関東鉄道キハ755形(写真1)になりました。また、国鉄キハ55形の一部の車両はキニ56形(写真2)に改造されました。つまり「設計」という見方をすると、写真1と写真2は兄弟関係にある車両たちということができます。これらの車両たちに関して、幅を比較してみます。

 写真1に関してですが、最大幅は雨どいと乗務員室扉握り棒で、いずれも2853mmです。ではその設計の基になった国鉄キハ55形はどうだったかというと、雨どい2863mm、扉脇の握り棒2928mmでした。南海電鉄キハ5501形は雨どい、握り棒、いずれも国鉄キハ55形よりも狭くつくられていたわけです。その理由は、南海電鉄の車両限界が国鉄より狭かったためです。実は2853mmでも車両限界を突破していて、特別に認可を受けていました。

写真3 関東鉄道キハ755形

写真4 国鉄キニ56形

 具体的にどのようにして最大幅を狭くしていたのか、写真3と写真4を比較するとよくわかります。南海電鉄キハ5501形改造の関東鉄道キハ755形(写真3)を見ると、平面内で曲げた棒が取付座に溶接され、この取付座が車体に取付けられています。結構面倒な構造ですが、このようにして幅を狭くしているわけです。
 一方、国鉄キハ55形改造であるキニ56形(写真4)の握り棒は、棒の両端が直角に曲がって車体から突出しているだけの簡単な形状です。ここが最大幅で、2928mmです。

 雨どいも国鉄キハ55形2863mmに対して南海電鉄キハ5501形は2853mmと少し狭くなっていました。片側5mm狭い計算です。写真3と写真4を比較すると、写真3の方が雨どいの突出が若干少ないかなぁ…という気もします。

 余談ですが、写真4において乗務員室扉の後に取付けられているのは保護板です。車体をタブレットから保護するために取付けられていました。キハ755形(写真3)に関しては、導入当時すでに関東鉄道ではタブレットを使っていなかったため、保護板は撤去されました。

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さかてつでした…