台東区と墨田区は隅田川を介して接しています。地面同士は接していません。今回は区境ではありますが、東武鉄道の橋のお話です。鉄道橋だったら電車でしか渡れないじゃないかと思われるかもしれませんが、2020年6月にすみだリバーウォークと称する歩道が脇に追加され、歩いて隅田川を渡ることができるようになりました。
1.空中写真
まず、現地の空中写真からです。
写真1を見ると、浅草駅から東武鉄道の線路が隅田川を渡って東の方に向かっている様子がわかります。この橋(隅田川橋梁)の中央付近が台東区と墨田区の区境です。すみだリバーウォークはまだ工事中です。
参考のため、今から80年ほど前、第2次世界大戦中の空中写真を掲載します。写真の右に隅田公園駅が写っています。東武鉄道が現在の浅草駅(台東区)にたどり着いたのは北千住以北が開業してから30年以上も経過した1931年のことでしたが、その際にこの隅田公園駅も設けられました。しかし、写真2が撮影された翌年には「戦争で緊急事態だというのに公園に行くための駅など不要だ」ということになり、隅田公園駅は休止されてしまいました。戦後正式に廃止されましたが、地上からプラットホームへ登る階段の痕跡が比較的最近まで隅田公園から見えたものです。
【注記】本書掲載の空中写真は、国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」の写真データを著者が編集・加工したものです。
2.現地の状況
写真3は、東武鉄道下り電車の先頭から見た隅田川橋梁です。浅草駅は狭いうえに急曲線があるため、両渡り線は橋の上に設けられています。両渡り線の終わるあたりが区境です。2015年撮影で、まだ鉄道橋だけしかなかった頃です。当時、この橋を歩いて渡れるようになるとは思っていませんでした。
写真4は開通まもない頃のすみだリバーウォークです。鉄道橋を脇から見ることができるようになりました。撮影した場所は台東区で、写真奥が墨田区になります。写真5はすみだリバーウォークから見た鉄道橋の拡大写真です。橋が完成したのは、路線開通の前年だったんですね。
写真6は最近撮影したものですが、2年前と変わったところがあるわけではありません。写真6にちらりと写っているガラス窓を墨田区側から撮影したのが写真7です。ここはすみだリバーウォークの中央付近です。周囲を探してみましたが、境界標などはありませんでした。区境の線でも引いてくれるとうれしいんですが…。
写真8は、ガラス窓の上から隅田川下流方向を見た状態です。空中に浮かびながらすみだリバーウォークを撮影したようにも見えます。左側が墨田区、右側が台東区です。
以上
さかてつでした…