電車用制御装置箱の大きさ逆転に思う

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写真1 ふたつの制御装置箱

 写真は、現在都営地下鉄浅草線用として増備が進んでいる5500形です。今まであまり意識していませんでしたが、この電車の床下機器を見て「近年の電車の制御装置箱は大きさが逆転しているな」と思いました。

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 床下にはふたつの箱が見えます。右の箱には「VVVFインバータ装置」、左の箱には「INTEROS」という銘板が取付けられています。

 VVVFインバータ装置は、駆動用の制御装置です。すなわち架線からの直流を三相交流に変換して、各車両に4個取付けられた電動機を駆動するためのものです。これにより車両は加速・減速します。生物に例えれば、心臓と筋肉といったところでしょうか。

 この駆動用制御装置、昔は結構大きかったものですが、今や断流器と同居していながらこの大きさ(小ささ)です。放熱器(箱中央付近の色が濃い部分)がかなり小さく、スイッチング素子の損失がそれだけ少なくなったことを意味します。技術が進歩しているんだなあ…と感じます。

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 INTEROSは、車両内の情報を扱う制御装置の一種です。乗務員室と車両内各機器を結ぶもので、生物に例えれば神経という感じです。走れ/止まれ、扉開け/閉まれなどという指令を当該装置に伝えたり、車両内各機器動作状態に関する情報を収集したり、乗客案内放送/表示を伝えたり…などの機能を有します。

 昔の車両は上記の情報をそれぞれに対応する電線で伝えるだけで、制御装置などと言えるようなものはありませんでした。しかし1980年代あたりから徐々に進化して、現在のようになっています。それに伴い、車両間に伝送線が引回され、情報制御装置の箱が神経節のごとく各車両に搭載されるようになりました。

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 駆動用制御装置(心臓や筋肉)はだんだん小さくなり、情報制御装置(神経)はだんだん大きくなり、ふと気づいたらその大きさが逆転していたわけです。「心臓や筋肉より神経が目立つようになってきたわけか…」と床下機器を見ながら思いました。

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ちかてつ
さかてつでした…