7年ほど使用したLED(発光ダイオード)電球が最近ちらつくようになり、とうとう消灯してしまいました。電源を切って入れ直したら再度点灯しましたが、どうも不安定です。
もともと家庭のAC100Vは結構電圧変動しています。LED素子は白熱電球と異なり、その電圧変動に起因する電流変化により明るさが敏感に変わります。そのため、LED電球には電流を安定させるための回路が入っています。LED素子そのものは10年以上寿命があると言われていますが、どうやら周辺回路の方が劣化してきたようです。
そもそもLED電球の中身ってどうなっているんだろうと思っていました。しかし、白熱電球と異なり、そう簡単に切れてくれません。7年待って(…いたわけでもありませんけど)ようやくその機会がやってきました。
ちらつくようになったといっても、電源電圧が変動しなければ問題ありません。改めて点灯させると写真1のごとく球全体がきれいに光っています。
まず、球の部分を外してみました。中には写真3のように、LED素子を16個取付けた丸い基板がありました。中心から赤(+)と黒(-)の電線が出ていて、接続されています。
この状態で点灯させてみました。球がないと、写真4のようにまさにLED素子の形そのものなんですね。それと共にまぶしく、光が目に突き刺さる感じです。
さあ、分解です。電線を切断し、LED基板を取外しました。写真5にその状態を示します。LED基板裏には放熱用のシリコーンコンパウンドが塗布されていて、べとべとします。台座は亜鉛ダイカストでしょうか。
台座を取外しました。中には口金部と一体になった基板が入っています。
基板はシリコーンゴムで充填されています。ゲルではなくゴムですから、点灯⇔消灯による熱サイクルではんだクラックが発生しやすいのではなかろうか…と思いながら、ニッパ、プライヤ、時計ドライバで写真7のごとくバキバキ分解していきます。
写真8の上部に見える黄色いものは直流用のインダクタ、水色に見えるのは平滑用のアルミ電解コンデンサです。破裂や液漏れはしていないようです。
口金側(交流側)の奥を見ると、写真9のように交流フィルタ回路が見えます。左右に黒く見えるのがインダクタ(チョークコイル)、いちばん奥のこげ茶色のものがコンデンサです。
写真10は、シリコーンゴムから発掘された基板です。ダイオードブリッジの左が交流側になります。チョークコイル、コンデンサ、抵抗器による意外とまともなフィルタ回路が構成されています。
もっと驚いたのは、ダイオードブリッジの右すなわち直流側が、チョッピング動作でまじめに電流制御する回路構成になっていることでした。
ダイオードブリッジの出力はジャンパ線(点線)を介して平滑用のアルミ電解コンデンサ(写真8参照)に接続され、-側は抵抗器(R1とR2並列)を介してICに接続されています。おそらくこの抵抗両端間に発生する電圧で回路電流を測定しているのでしょう。ICには出力トランジスタも内蔵されているようです。平滑用アルミ電解コンデンサの+出力とIC出力の間にはフリーホイールダイオードが接続されています。インダクタはLED電流を維持するため(平滑用)です。
分解するまでは、ダイオードブリッジで全波整流して平滑用コンデンサ入れてあるだけだろう…などと思っていたので、能動的に制御するようになっていて驚いたのでした。
なお、以上は現物を見て私がこうだろうなと思ったものです。何かに記載されているわけでもなければ正しいという保証もありません。念のため。
中身を分解してしまったので、当たり前ですがもう電球として使うことはできません。台座と球は、オブジェとして私の机の上を飾っています。
以上
ちかてつの
さかてつでした…