鹿島鉄道のキハ600形は、鉄道省(のちの国鉄)の機械式ガソリン動車キハ42000形として産まれました。
写真1のキハ602は、1937年(昭和12年)に鉄道省の大宮工場でキハ42036として新製されました。その後、天然ガス動車に改造→ディーゼル動車に改造→関東鉄道に譲渡されて1966年に液体式に改造→1972年に総括制御に改造…と繰返し改造されてきました。1979年には鹿島鉄道が関東鉄道から分離しましたが、キハ602は2007年に鹿島鉄道が消滅するまで(70歳になるまで)働き続けました。
写真2はキハ602の正面下部です。写真2の左側、つまりジャンパ連結器付近を拡大したのが写真3です。
車体中央寄り(写真右側)の大きな二つのジャンパ連結器は、当時の一般形気動車としてはごく普通の制御線引通し用です。しかし気になるのが、これら二つの車体外側寄り(写真左側)に取付けられている小さな「家庭用コンセント」のようなものです。
比較参考用として、国鉄キハ11のジャンパ連結器を写真4に示します。これは鉄道博物館で撮影したものです。キハ602に対して左右勝手違いになっていますが、車体中央寄り(写真左側)に大きな二つのジャンパ連結器があることは変わりません。車体外側寄り(写真右側)に小さく見えるのは、車内放送用の引通し線を接続するためのジャンパ連結器です。
写真3と写真4を比較すると、キハ602の「家庭用コンセント」は車内放送用のジャンパ連結器と推定されます。ただし、ちょっと考えただけでも次のような問題点が考えられます。
(1)雨水や塵埃が入り込んで内部が腐食・汚損し、接触不良の原因となる。
(2)上記により2本の線が短絡して機能しなくなる。
(3)車両の揺れによりプラグが接触不良を起こす、脱落する。
同時期(1980年代)に撮影した鹿島鉄道の他の車両の写真を見ると、やはり「家庭用コンセント」が同様の場所に取付けられています。
しかし…何とも不安定なジャンパ連結器です。いろいろとトラブル(放送が途切れる、聞こえない等)があったのではないかと思いますが、私が乗りに行った時はいつも単行運転でしたので、実態はよくわかりません。
以上
ちかてつの
さかてつでした…