この漢字の意味は結構生々しい…

 街を歩いていると「この漢字は何と読むのだろう?」と思うことがあります。

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写真1 店の看板

 写真1は、とあるところで見つけた店の看板です。見覚えのある漢字のようなものが複合しており、「馬」という字の「、、、、」が「鹿」「巣」という漢字の一部になっているように見えます。

 素直に並べると「馬鹿巣」です。「バカの巣」かと思いましたが、店名でそれはないだろうと考えました。「馬」と同様に「鹿」を音読みするとロクですから、「バロックス」と読めますが、「巣」だけ訓読みするのも変です。音読みはソウですから、「バロクソウ」とも読めますが、あまり響きの良い音ではありません。

 考え直して、並べる順番を「馬巣鹿」とすると「バスカ」と読めます。何となく店名っぽいような響きですが、今ひとつです。

 その時、ふと思いつきました。「馬鹿巣」をバッカスと読ませるのではないでしょうか。バッカスとは酒の神の名前です。ギリシャ神話ではディオニュソス

 …で、Googleで検索してみたら「バッカス」でこのお店の看板(写真1)が出てきました。正解でした。

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 ディオニュソスはどういう神だったのか、ちょっと調べてみました。

 父は神々の王であるゼウスで、母はセメレでした。セメレが身ごもったと知った正妻ヘラは激怒して策略を練り、結果としてゼウスの稲妻でセメレを殺してしまったのです。びっくりしたゼウスはセメレの体内から自分の大腿部に胎児を埋め込み、赤ん坊として産まれるまでそこで育てました。ところが、正妻ヘラは産まれてきたディオニュソスをバラバラにしてしまったのです。その現場から生えてきた木が、血の色のザクロです。

 幸い、祖母レアによってディオニュソスは体を元通りにされましたが、ヘラの怒りは治まりません。ディオニュソスに対する迫害はしつこく続きます。ディオニュソスはヘラから身を隠しつつぶどう酒づくりをするようになり、酒の神ということになりました…。

 実に生々しい話ですね。ディオニュソスの人生は苦悩に満ちていたんだなと思います。上記のようなことを知った上で改めて写真1を見ると、馬という字がゼウスで、鹿と巣という字が大腿部に埋め込まれた胎児時代のディオニュソス(バッカス)のように見えてきました。

f:id:me38a:20191022200051j:plain以上
さかいさかιゝ さかτゝ
さかτ さかてつでした…